主菓子の頂き方
主菓子(おもがし)とは、本来は濃茶をいただく前に食べるお菓子ですが、大寄せの茶会では薄茶しか出ないので、薄茶の前に出されます。正式な茶事では懐石をいただいた後、デザート?として食後すぐに出され、主菓子を食べてから、一旦中立ち (休憩?) をします。濃茶の席はその後なので、食べてからお茶を頂くまで随分時間が経っています。ですので、お茶を飲む直前に甘いお菓子で抹茶の苦味を中和するという考えは、本来の意味合いとはどうも違うようです。
主菓子の材料別の種類を紹介します。
- 薯よ(じょうよ)饅頭…つくね芋と上用粉を練ったものでこし餡を包む
- ういろう仕立…ういろうは米の粉をといて蒸す。こし餡を包む。柏餅や草餅
- ぎゅうひ餅菓子…もち米粉をといて蒸したぎゅうひで、こし餡を包む。亥の子餅、栗餅
- 練りきり…こし餡に寒梅粉を練りこんでいる
- こなし…こし餡に小麦粉を加えて蒸す
- きんとん…こし餡やつぶ餡を丸めて玉をつくり、それにそぼろ餡を箸でつける
- 葛菓子…葛で作った皮で餡を包む
季節ごとに趣向を凝らされたものが多く、書き切れないほど沢山の美味しい和菓子があります。これもお茶をする楽しみのひとつでしょう。
参考までに 求肥 (ぎゅうひ)とは- Wikipedia によると
蒸したもち米を搗くことで粘りを出す餅に対し、求肥は粉にしたもち米に水と砂糖を足して火にかけて練ることで粘りを出す。
主菓子が出されるときの器は、縁高(ふちだか)や菓子鉢です。縁高には基本、一段に主菓子が一つだけ盛られており、5段重ねで運ばれてきます。大寄せの茶会では何十人も一度に席に入るので、正客~三客までで一つの菓子鉢、以降は5個か7個ずつ菓子鉢に盛られて運ばれます。
縁高からお菓子を懐紙に取る場合
- 正客は次客に「お先に」と一礼。
- 縁高の両横を持って押し戴く(感謝の一礼)
- 一番下の段を残して、それより上の段を左回りに45度回して重ねる。
- 黒文字(くろもじ)を1本とり、自分の段に入れる。
- 上の段を次客に送る。置く位置は縁外(ふちそと)
- 次客以降上記の繰り返し
- 自分の懐紙を出し、縁高から黒文字を上手に使ってお菓子を懐紙に移す
- 空いた縁高を次客(左隣の人)に縁外で送る
- 次客は一旦自分の縁高を脇にずらし、正客の縁高を正面に置く。そしてその上に自分の縁高を重ねる
- 三客以降上記の繰り返し。
- 詰め(末客)は全て重ねたら下座に預かっておく(亭主側が取りに来ます)
- 隣の人にそれぞれ挨拶をして、懐紙をお皿代わりに、黒文字をナイフ&フォークのように使い主菓子をいただく。自分のお茶が出される前に食べきる。
菓子鉢からお菓子を懐紙に取る場合
菓子鉢一つにつき、黒文字が2本ついています。黒文字をお箸のように使い自分の懐紙に主菓子を取ります。
- 縁高の1と同じ
- 縁高の2と同じ
- 黒文字を2本同時に右手で上から取り、左手に持たせ右手で持ち替える
- 菓子鉢に左手を添え、お箸の要領で主菓子を懐紙にとる
- 自分の懐紙の右上の角を折り曲げ、お箸の先を拭う(箸についた餡を拭き取る)
- 箸を元の位置に戻す
- 菓子鉢を次客に縁外で送る
- 次客以降上記の繰り返し
- 菓子鉢が自分の前に置かれたら、正客がお菓子を取り始めるのを見て、自分も上記の手順でお菓子を取って隣に縁外で送る
- 黒文字は菓子鉢に返すので、自分の菓子切りを使ってお菓子をいただく