和菓子の材料
淡雪(あわゆき)
泡立てた卵白と錦玉(ぎんぎょく)※下に説明有り↓とを混ぜて固めた物。 春の淡い雪のように、舌の上でとろける。 寒天の代わりにゼラチンを使えばマシュマロとなる。
外郎(ういろう)
米の粉と砂糖を混ぜて蒸した物。 四角い棹物は、名古屋、山口などが有名。 阿波ういろうは生地に餡を練り込んである。 語源は、鎌倉時代に透頂香(とうちんこう)という薬を日本に伝えた陳宋敬という人の、「元」の国での官職名。 この人が好きだった食べ物、この薬が変化した、この薬に色が似ていた、この薬の口直しに用いた、などなど諸説あり。 当初は黒砂糖味だった。
歌会始(うたかいはじめ)
宮中で行われる、新年最初の歌会。 前年に発表された「お題」を詠み込むのが決まり事で、天皇・皇后および皇族の和歌や、明治12年からは一般国民からの詠進歌も、披講される。 鎌倉時代中期以降断続的に続き、江戸時代から毎年開催。 大正時代までは歌御会始(うたごかいはじめ)といわれていた。
鹿の子(かのこ)
蜜漬けされた小豆、えんどう豆、いんげん豆や、栗、さつま芋などを、求肥や羊羹を包み込んだ餡のまわりに付けた、鹿の子餅の事。 また、その蜜漬け小豆。 鹿の背の斑に似ていたから付いた名前。 江戸時代の役者、嵐音八が祖とされる。
軽羹(かるかん)
つくね芋・大和芋などをすりおろし、うるち米の粉「かるかん粉」や砂糖を加えて蒸し上げた菓子。 九州方面で多く製造されていて、特に鹿児島県の名物。 九州の大名、島津家が指定の菓子司に製造させたのが始まり。
寒天(かんてん)
テングサ、オゴノリなどの紅藻類と呼ばれる海藻を煮出して凍結・乾燥させた物。 徳川四代将軍家綱公の時代のある冬、山城国伏見(京都市伏見区)の美濃屋太郎左衛門方に、江戸参勤途中の薩摩藩主島津候が休泊し、夕食の残りの心太(ところてん)を家人が何気なく屋外に放置。 夜中に凍結、昼間に徐々に融けて水分が蒸発、を繰り返し、数日後、巣状の干物になった。 再び煮溶かしてみると、もとの心太よりも透明で海藻臭の無い、美味しい心太ができ、偶然、発明・発見された。 名前の由来は、寒い天(そら)の下で作られたからとも、寒晒心太(カンざらしところテン)からとも。 名付け親は、宇治の万福寺を創建した黄檗宗(おうばくしゅう)の開祖、隠元(いんげん)禅師。
黄味時雨(きみしぐれ)
白餡に卵黄と味甚粉や上用粉などを混ぜ、蒸し上げたもの。 表面の多くのひび割れが見た目上の特徴。 上質な物は口の中でとろけて、風味豊か。 卵ボーロに少し似ている。 安物の中には、ほとんど卵黄を使わない物もあるらしい。
求肥(ぎゅうひ)
餅粉や白玉粉に砂糖や水飴などを加えて練り上げたもの。 鎌倉時代、「唐」でもてはやされていた「牛の皮」をまねて、穀粉を蒸してまとめたものが「牛皮」の始まり。
錦玉(きんぎょく)
寒天と砂糖を使った流しものの内、餡を使わず炊き上げたもの。 副材料により多種多様である。
きんとん
一般的には、おせち料理の栗きんとんのように、芋・豆・栗などを煮て餡とし、甘く煮た栗・豆などを混ぜたもの。 和菓子の世界では、餡をフルイでこしだしてソボロ状にし、粒餡・求肥・羊羹などの芯に植えつけたもの。 お茶席にもよく用いられ、形は同じでも色彩と菓名によって、四季を通じて様々な事象を表現できるため。 よく似た色使いでも見る角度によって、全く別のものを表すこともあり、これがきんとんの醍醐味。
葛(くず)
つる性の多年草で、肥大した根からとる澱粉「葛粉」のこと。 また葛粉で作った菓子。薬品にも用いられる。 記紀で、大和国(奈良県)吉野の国栖(くず)に住む国栖人が良く利用していたカズラだった事からついた名とも。 現在も吉野葛は一種のブランド。 が、生産量は鹿児島県がシェアNo.1。 加熱した時、透明度が高く粘力が強い物が良品。
葛羊羹(くずようかん)
錦玉に、葛を混ぜ固めたもの。 寒天を使わずに、軟らかく炊き上げた葛だけを冷やし固める場合もある。 錦玉特有の食感・歯触り(ポリポリする感じ)が緩和され、軟らかい口当たり・喉ごしとなる。 但し錦玉と違って、冷蔵庫で冷やすと白濁するのが難点。
桂皮抹(けいひまつ)
クスノキ科の肉桂やカシア(東京肉桂)の樹・根皮を剥いで干し、粉末にした物。 古来、生薬として健胃・発汗などに用いる。 また、菓子の香料として使う、いわゆるニッキやシナモンのこと。
氷餅(こおりもち)
東北地方に保存食としての氷餅もあるが、お菓子の材料としては、信州諏訪地方の名物。 もち米をひいた米汁を煮て、外気で凍結、一ヶ月かけて屋外乾燥させたもの。 霜柱のように結晶構造をしていて鱗片状にはがれる。 明治15年頃からお菓子に利用されるようになった。
こなし
餡に小麦粉を加えて蒸したもので、風味は蒸し羊羹に似ている。 煉切に比べ弾力があるが、硬くなりやすい。 京都を発祥地として主に関西で使われていて、蒸し上がった餡を「こなす(揉み混ぜる)」という製造工程からきた名称。