点前の真・行・草
元来は、書道の真書(楷書)、それをくずした行書、さらに行書をくずした草書の3書体のことで、そこから茶道・華道・俳諧・庭園などにも、この真行草の構成が見られるようになりました。他にも建築様式において、和室の格式の表現形式として、真・行・草は、和室の床の間の形や使用する材料・納め方によって分類されているようですが、実際のところは、その3種類の境目は明確では無いようです。
一般的に、「真」とは厳格に完備したもので正格、それがやや砕けて軟らかな形式になったものを「行」、さらに省略化され軟らかさを増したものを「草」といい、茶室でいうと、真は書院風の茶室をいい、草は千利休が広めた草庵茶室といえます。草庵を完成させた千利休は、利休百首歌には入っていませんが、次のような歌で 弟子に真行草の要諦を説きました。 「真を知り、行・草に至れば(作法や形態は)いかほど自由にくずそうと、その本性(質)はたがわぬ」
点前の真行草で言いますと、真は一番格上の「真の行台子」や「行の行台子」、「大円の真」「大円の草」の四つ、奥義と言われるお点前になります。
行の点前は四ケ伝(しかでん)と呼ばれる点前、茶通箱(さつうばこ)、唐物(からもの)、台天目(だいてんもく)、盆点(ぼんだて)の四つと同じ時期に許状をいただける
和巾点 (わぎんだて)の実質五つを指します。
草の点前は、平点前と言われる基本的な点前や小習いと言われる 四ヶ伝 を習う前に教習する点前がそれにあたります。葉蓋点前など季節の点前も格的には草になります。