無想庵コラムCOLUMN

長生殿 一月のお菓子

長生殿 一月のお菓子

長生殿(ちょうせいでん)

元は中国の唐代、現在の陝西省西安市東郊の驪山(りざん)にあった華清宮内の宮殿の名です。その後、清代に 50幕もある 戯曲にもなっている名前です。

長生殿は、石川県金沢市の森八で作られている和菓子です。 金沢市の名物であり、落雁(らくがん)の最高級品とされています。新潟県長岡市の「越乃雪」、島根県松江市の「山川」( 松平不昧が作らせたという伝えです) と共に、日本三大銘菓の一つにも数えられています。 (三つとも落雁です)

因みに落雁(らくがん)というは、米や豆、蕎麦、栗などから作った澱粉質の粉に水飴や砂糖を混ぜて着色し、型に押して固めて乾燥させた“打ちもの”と呼ばれる干菓子のことです。 落雁の製法には二通りあって、

  1. すでに蒸して乾燥させた米((ほしい、干飯))の粉を用い、これに水飴や砂糖を加えて練り型にはめた後、ホイロで乾燥させたもの。
  2. 加熱していない米の粉を用いて1.同様に水飴を加え成型し、セイロで蒸し上げた後、ホイロで乾燥させたもの。  です。

長生殿はかなり由緒あるお菓子です。加賀藩3代藩主前田利常より七夕のための落雁を作ることを命ぜられた三代目森下屋八左衛門(森八の前身)によって作られました。茶道遠州流の開祖である小堀遠州の助言により、菓子に篆書で「長生殿」の文字が彫り込まれています。命名も小堀遠州だそうです。すごいですね~!

後水尾天皇にも献上され、前田家から徳川将軍家にもしばしば献上されたそうです。明治以降もしばしば宮内省におさめられているようです。宮内庁御用達というやつですね。100年前なら庶民の私は食べられなかったということですから、ありがたくいただきました。

また生〆という長生殿もあります。 一般の乾燥させた「長生殿」とは異なり、打ち上げた直後の蜜を含んだ柔らかい状態を乾燥させずにすぐに密封包装したものです。古来加賀金沢での茶会などに珍重されてきたもので、フワリとした口溶けと豊かな風味だそうです。まだこちらは頂いたことはことはないので、誰かのお土産に期待しています(笑)

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