花衣 三月のお菓子
花衣(はなごろも)
花衣は春によく出会う菓銘です。
実際に、いろんな意匠の花衣があります。上の写真は、有名な和菓子店、京都北山の川端道喜さんの花衣です。餅生地にピンク色をつけて三角に型抜きし、餡を包んで桜の焼き印を押しています。衣の意匠を見事に表現されていると思います。餅生地が薄いので、中の餡が透けて見えてそこがまた情緒があるというか可愛げのあるお菓子に仕上がっていますね。
右は、その花衣を二つに切った見た目。正直、生菓子は餡と餅の組み合わせが多く、同じ材料で、餅生地の色と焼き印が違うだけで、違う季節に違う銘で出てきますから、中身や味の違いを議論することは出来ません。
やはり、お茶の主菓子の値打ちは茶席の開かれる季節やその趣旨により付けられる銘が、見た目や味と共に重要なご馳走になってくるのだと思います。
花衣と言う言葉には、花見に着ていく晴れ着と言う意味や華やかな衣という意味があります。しかし、元は平安時代の十二単(じゅうにひとえ)から使われた言葉だそうです。色違いの紅色の衣を重ねていき最後に白い衣を羽織ることで、透けて桜色に見せる「桜襲(さくらがさね)」というファッション用語?からみたいです。単純に桜色の着物があってそれを花衣と言うわけではないのですね?!何でも昔は、桜の花は白色だったそうで(山桜)、今のソメイヨシノみたいにピンク色ではなかったそうです。白い桜の花が遠めに見て紅色の周りの色と重なり薄紅色に見えたのを桜色と言っていたのだそうです。そもそも現代とは前提となる色から違ったのですね!!
確かに色の見本帳にもDIC○○番のほかに、日本の伝統色など何百種類もの日本特有の色があります。色々と??奥が深いです。
左は別の有名な和菓子屋さんの、同じく菓銘が花衣という生菓子です。ネットでもよく紹介されているみたいで、関東の方では花衣の意匠はこちらを思い浮かべる方が多いかも知れません。
私がお願いしている和菓子屋さんでも似た意匠でお菓子を作って頂いてますが、右のような抜き型を使ってらっしゃるのかも知れません。黄み餡が好きなので、その餡を抜いた餅生地で包んで降りたためば、手作り出来ないかと密かに考えています。生の餅生地売ってないかな~?