朝霞 八月の銘
朝霞(あさがすみ)
埼玉県の朝霞市(あさかし)は「あさか」と読みますが、銘では「あさがすみ」と読みます。もちろん銘なのでどう読んでも付けた方の自由ではあると思いますが…。
意味はそのまま「朝に立つ霞」のこと。俳句の春の季語にもなっていますね。確か小林一茶も一句詠んでいます。 『茶を呑めと鳴子引なり朝霞』
枕詞(まくらことば)としても万葉集の時代から使われています。八重に立ちこめ物がはっきり見えない様を表し、また霞の立つ春の意味から「八重」「ほのか」「春日 (はるひ) 」にかかって使われます。
「朝霞 ほのかにだにや 妹 (いも) に逢はざらむ」 万葉集
銘の付け方としては、茶碗なので釉薬の掛かり具合が八重でほのかな感じを受けたら、この句にかけて朝霞と付けたりしたら良いのではと思います。銘を付けた経緯というかストーリーが語れますよね?銘を知ることが教養?なんて偉そうに言ってますが、こういう文学や言葉の背景を知っていくことで、道具の見た目や醸し出す雰囲気から言葉が繋がって自分らしく、かつ個性のある銘をつけたり、またそういう道具に出会ったときに亭主の想いを感じ取ることが出来るようになると思います。お茶はもちろん礼儀作法が大事ですが、そういう心意気?というか感性みたいなものが大事なのではないのかな?と思っています。