無想庵コラムCOLUMN

蛍狩り 六月の銘

蛍狩り 六月の銘

蛍狩り

いつごろからこの名称がつけられたかは明らかでないですが、夏の夜の涼みがてらに、ホタルをとらえる遊びのことです。現代ではそんなことをしたら世間からバッシングを浴びますから、蛍が光りながら浮遊しているのを見て楽しむ事を言いますね。大阪でも自然のホタルを見ることができる川もいくつか残っています。

グーグルで検索してみたら、意外にもホタルのことで知らないことが、あったのでちょっと紹介したいと思います。

私たちは蛍といえば光るものだと思っていますが、それが当たり前ではないらしく、幼虫のときは発光するものの、その多くの成虫は発光しないのだそうです。ほとんどの蛍が一生を陸上で過ごし、昼間に活動するため、光ではなく匂いを発しているそうです。 世界では2000種ほど、日本でも40種ほどの蛍がいるといわれていますが、 私たちが知っているゲンジボタルヘイケボタルは、長い幼虫期を水中で過ごし、成虫になって発光する珍しい種類なのです。きれいな川に住むカワニナという貝を食べて成長するため、自然環境のバロメーターにもなっているそうです。 確かに汚い川にはホタルはいませんね!

ところで、蛍の成虫が発光するのはなぜでしょうか? 同じくググると、それは、求愛信号だと考えられています。成虫期間はおおむね1~2週間程度で、オスが飛んで発光しながらラブコールを送り、それに応えてメスが光れば婚約成立で、オスがメスのもとに飛んでいきます。そして交尾、産卵をしてお互いの一生を終えることになります。

短い成虫時代を精一杯輝いて生き、命をかけて子孫を残す。セミもそうですし、短い一生がはかなさを感じさせます。

季節の移ろいを示す七十二候には、ちょうど今頃の6月10日頃~6月14日頃に「腐草為蛍」(くされたるくさほたるとなる/ふそうほたるとなる)というのがあります。これは、草の中から蛍が舞い、光を放ち始める頃という意味で、昔の人は暑さに蒸されて腐った草から蛍が生じると思っていたのかも知れません。

さて私たちが良く知っているゲンジボタルとヘイケボタルは、源氏と平家に由来します。もともと源氏物語から名づけられたというゲンジボタルに対し、光も弱く小型の蛍に、源平合戦で負けた平家の名を付けヘイケボタルになったといわれています。大きさだけでなく見かける時期も少し違うようです。虫に詳しくないので、勉強がてら、そのままネット情報を掲載しておきます。ホタル観賞にお役立てください。

■ゲンジボタル(源氏蛍)
5月下旬~6月下旬ごろ成虫になる。体長12mm~18mm。本州、九州、四国に生息。

■ヘイケボタル(平家蛍)
6月下旬~8月ごろ成虫になる。体長7mm~10mm。北海道から九州にかけて生息。

■ヒメボタル(姫蛍)
5月下旬~7月下旬ごろ成虫になる。体長6mm~9mm。青森から九州に生息。水辺ではなく陸に生息し、ゲンジボタルやヘイケボタルに比べると光は弱い。

お茶の世界でも道具の銘に蛍に関する銘がいくつもありますが、その中でも付けやすい?銘として『蛍狩り』という単語を使っています。例えば自作の茶杓で蛍狩りの折に取ってきた竹で作ったものにつけたり、何かストーリーがあれば道具に銘を付けるのは有りだと思います。私ならガラス製の平茶碗に付けます。

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