無想庵コラムCOLUMN

朝顔 七月の茶花

朝顔 七月の茶花

朝顔(あさがお)

お茶の世界では、朝顔の逸話はかなり有名です。そのため、畏れ多くて中々茶席でお見掛けしないのが、この朝顔です。

利休居士が太閤秀吉様を招いた際の逸話です。利休居士が庭で育てている朝顔がたいそう素晴らしいと評判になり、やがて秀吉公の耳に入りました。秀吉公がその素晴らしい朝顔を見るための茶会に招くよう、利休に命令?するのですが、いざ行ってみると噂の素晴らしい朝顔が一輪も庭にありません。いぶかりながら、茶室に入ると朝顔が一輪だけ花入に生けられ、床に荘られていて、その侘び感にたいそう秀吉公も感心したという逸話です。

利休以後の茶の湯では、庭一面に咲き乱れる花よりも、ただ一輪、床に荘る。というのが茶の湯の基本姿勢になったとは思いますが、天下人に対して随分度胸の有る行為だったとは思いますね。下手をすると打ち首とかにもなりかねないほど、大変なことなので、利休居士ならではの逸話になったのでしょうが、どこまで本当なのかは分かりません。朝顔といっても、現代のそれこそ小学生の夏休みの課題になる程度の一般的な種類だったのか、それとも桔梗とか木槿の類だったのかも知れません。

利休居士と同格の事を、例え洒落とはいえ、中々お客様を大勢呼んでするほど大胆にもなれませんが、身内のもしくは自分だけの茶席なら、居士を偲んで朝顔を荘らせていただいてもいいのかなと思います。

実際、朝顔を色数も豊富ですし、蔓も上手に使えば同じ花でも色々とテイストを変えて床を荘ることが出来るので、避けてばかりだと勿体ないなと思います。

経験上、皆さんもご存じの通り、朝顔を昼まで咲いていてくれません。朝一番の御馳走といった感じでしょうか?すぐ萎むので扱いにはちょっとした工夫は必要ですが、身近な花で夏の代表的な花ですので、茶室にあるとまた格別です。

たまたま、ネットで見つけた写真ですが、このように手桶に荘るのも素敵だとおもいます。暑いこの季節にはぴったりの花入だと思いますし、私も真似したいと思いました。 詳しくは特定非営利法人 茶美会日本文化協会 さんのサイトをどうぞ。

コメントを残す

記事に関するご質問やご意見などありましたら下記のフォームよりお気軽に投稿ください。