無想庵コラムCOLUMN

女郎花 九月の茶花

女郎花 九月の茶花

女郎花(おみなえし)

「女郎花(おみなえし)」はスイカズラ科(またはオミナエシ科)の多年草です。毎年6月~9月にかけて、小さな黄色い花をたくさん咲かせます。

高さ100cm前後まで伸び、茎の上部に多数の小花が集まるように咲きます。群生し易いので、一面に鮮やかな黄色が広がります。原産地は日本全土や東シベリアなどです。結構身近な草原などに生息しているので、自然のなかで見かけたことがある方も多いと思います。

女郎花は「秋の七草」の一つとして有名ですよね。おさらいしておくと、秋の七草とは、秋頃に鑑賞できる美しい草花を指していて、オミナエシのほかに「ハギ」「ススキ」「カワラナデシコ」「フジバカマ」「キキョウ」「クズ」です。

また、女郎花は日本の文化とも深い関わりのある植物で、日本最古の歌集『万葉集』で和歌の題材となるほか、平安時代の文学作品『源氏物語』にも登場しいます。

女郎花の花の色は装束にも取り入れられていたようです。平安時代にはさまざまな色の着物を重ね合わせて着る「襲(かさね)」の文化がありましたが、なかでも「女郎花色」は秋を代表する襲色目として知られています。

女郎花の仲間であるオミナエシ科の植物として「オトコエシ」「ハマオミナエシ」「コキンレイカ」などが挙げられます。いずれもオミナエシとよく似た小さな黄・白の花を咲かせ、日本各地の草原や山などに生息している植物です。

花の開花時期は夏から秋にかけてですが、お茶席では秋の七草に因んで、九月に入ったくらいから荘られたりします。(もちろんこれにこだわる必要はないですが)

秋を代表する秋海棠(しゅうかいどう)と女郎花に桔梗を取り合わせて、水月籠など平たい籠の花入れを使って床に荘るのは、秋をさりげなく感じさせてくれて、良い床を演出してくれるのではないでしょうか?

コメントを残す

記事に関するご質問やご意見などありましたら下記のフォームよりお気軽に投稿ください。