無想庵コラムCOLUMN

 久寿桜 八月のお菓子

 久寿桜 八月のお菓子

久寿桜(くずざくら)

こし餡を葛(くず)で包んだ見た目も涼しげな、夏の主菓子です。夏は暑くてお茶菓子として出される練切などは、餡ばかりで、ちょっと喉に通りにくいと感じるお客さまもいますね。そこで、夏の定番の主菓子として葛製のお菓子が出てきます。

葛は透明ですから、涼しげに感じられて中、餡でも食べやすく感じられるから不思議です。桜の葉で包んであるので菓子鉢に移す際も綺麗に盛れますね。結構これはお茶席を運営する側にとっては大事な要素です。(笑)

折角なので、葛(くず)の事を少し書き加えたいと思います。

葛はマメ科のツル性植物で、その花の美しさから古来より多くの人々に愛されていたそうです。例えば、紀貫之など多くの文人・俳歌人が葛を題材にしていたようです。花だけでなく茎や根も全ての部位が利用できる大変有益な植物です。
花は高尚優雅を誇り、秋の七草のひとつに数えられ、お茶花として親しまれています。(いつか今月の茶花のコーナーで取り上げたいです。)

また煎じたものは薬草としての効果があるといわれます。
茎からは強い繊維を利用した葛布が作られます。元々は衣服等に、使われて来ていて、現在ではテーブルクロスや壁紙など民芸品などとして生産されています。
そして葛の根から採取した澱粉が本葛粉です。 吉野の葛は有名ですね。

葛の根に含まれる澱粉を、地下水で繰り返し精製、乾燥させたものが葛粉で、これこそ自然食品ですよね?
葛粉の粒子は大変小さく、繊細で滑らかな食感が特徴で、コシ、粘り、透明感に優れいるので、涼感を誘う夏の和菓子や日本料理等、高級食材として幅広く使われています。
葛粉は、体内に吸収されやすく、体を温め癒す効果があるといわれ、風邪など、体調を崩した際にも重宝されています。

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