無想庵コラムCOLUMN

ノハラアザミ 十月の茶花

ノハラアザミ 十月の茶花

ノハラアザミ

ノハラアザミは漢字で書くと「野原薊」と書きます。難しい感じですね~。キク科の植物で、開花期は8~10月ですので、初秋の花ですね。秋の野原に咲くアザミなのでこの名が付きました。(そのまんまですが…。)

秋の野を代表するアザミのひとつで、 比較的日当たりのよい野原や林の縁などにたくさん生えています。 街中でもかつてはありふれた野の花だったようですが、最近では滅多に野生のものは見なくなってしまいました。

アザミはあさむの連用形あざみから来た名だそうです。あさむには意外なことに驚くという意味があり、美しい花だと思って近寄ると痛い 刺に驚く事からという説も。漢字もなんで、こんな字を書くのでしょうか?
薊は「草冠+魚+刀」からなる字で、「魚」はトゲトゲした骨があることを表している。つまり 「薊」はトゲがあって刀のように刺す草を表しているからだそうです。 こうして記事を書いていると、色々勉強になりますね!

最初に書きましたが、アザミは日の当たりが良い草原で群生する多年草です。上向きに咲く頭花は多数の小さい筒型の花の集まりで、その外側を囲む総苞は粘らない(ベタベタしない)そうです。果実には羽毛状の冠毛があって、たんぽぽの様に風で飛びます。

葉はギザギザの切れ込みがあり、 その先が鋭い刺になっています。 草丈は 1m 以 上になりますが、 環境に拠ってはコンパクトな状態で 開花するそうです。 環境に適応しているのですね。逞しい花です。

ノハラアザミはアザミの中でも最もポピュラーな品種です。 ノアザミによく似ていますが、 ノアザミは春に咲く唯一のアザミで総苞が粘ってます。ノハラアザミは秋に咲き、総苞 は先がトゲ状になっていて少し反り返っています。ねばねばしません。トネアザミにも似ていますが、 総苞片の形状が違い、そこで見分けるそうです。

他の種類としては、富士アザミや森アザミ、キツネアザミなどいくつか種類があります。茶花としては手に入りやすい、ノアザミやノハラアザミが多くなります。

朝、咲いたばかりの花に軽く触れるとしばらくして白い花粉がモクモクと出てくるという説があります。
蝶などが止まると花糸が曲がって雌しべが花粉 を押し出した後、授粉態勢に入るといわれています。 頭状花は周辺の筒状花から雌しべが伸び出し、中心部分は白い花粉が見られ、周囲に長い雌しべがある頭状花も多く見られます。

自生のノハラアザミ

 ノハラアザミをはじめとするアザミの仲間は、 開 花してもすぐに花粉を出しません。 花に何かが触れ たという刺激を検知してから初めて、 花粉を出しま す。 つまり虫さんが花にくるタイミングを見計らって 花粉を出しているのです。 効率よく虫さんに花粉を 託すための作戦なのでしょう。 ただ 1 つの花が刺 激を検知するのは一回きり。 花粉を出すと雄しべ は役目を終え、 今度は雌しべが顔を出します。

茶花として使う場合、色んな花材に合わせやすい便利な花です。秋の茶花、ムクゲやホトトギス、キキョウなどにも合わせやすく手付き籠や筒状の焼き物の花入れなど取り合わせも自由度が効きます。

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