八朔 九月の銘
八朔(はっさく)
八朔は八月朔日の略で、旧暦の8月1日を指します。本来は田の神様に稲の豊作を祈る行事でした。 「田の実の節句」 とも言われています。この田の実が転じて頼みとなり農民が恩人などに初穂を贈ったことから贈答品を贈る風習が出来上がって行ったそうです。 今のこの時期は、田の実の節句から、稲穂の図柄が入った茶碗でお茶を点てたり、掛け軸を飾り茶会の趣向にしたりして楽しみます。茶杓に八朔と銘付けても面白いですね。
さて、皆さんは京都の松尾大社の八朔祭をご存じでしょうか?
松尾大社の八朔祭(はっさくさい)は1885年(明治18年)から行われている神事で、台風や病害虫の被害が多くなる八月朔日(旧暦の8月1日のこと、今の9月1日頃)に風雨順調・五穀豊穣・家内安全を祈願しています。以前は9月1日に行われていましたが、1976年(昭和51年)からは9月の第1日曜日に行われるようになりました。因みに八朔祭は京都で最後の夏祭りとも言われているそうです。
八朔祭で有名と言えば、女神輿や子供みこし、八朔相撲(神事相撲)、赤ちゃん土俵入り(赤ちゃん相撲)、嵯峨六斎念仏、上桂御霊太鼓などが行われ、日没後には境内の万灯が灯されます。
八朔相撲は社伝によると鎌倉時代から行われ、江戸時代初期に編纂された「松尾年中行事次第記巻中」に記されているそうです。
京都以外にも八朔祭りが全国にあるみたいです。中でも熊本県山都町の矢部の八朔祭は 自然の材料でつくられた大きなつくりもので街中を練り歩くお祭りだそうです。 九月の第一土曜日に開催されています。
また、八朔と言えば(どちらかというと個人的にはこちらを先に思いつきますが…、)夏ミカンの様な果物があります。銘とは関係ないけど、ちょっとご紹介します。もっとも銘は自由な発想で付けても良いので、道具を見て果物の八朔みたいとインスピレーションを受けたら名付けるのも有りかも知れません。
ハッサクは、広島県因島原産のミカン科で柑橘類のひとつ。ブンタンに近い雑柑といわれ、果皮だけでなく、袋も厚いため、通常は袋も剥いて食べます。私も子供の頃はよく食べていました。最近はあまり見かけませんよね?プチッとした食感と甘酸っぱさとほのかな苦味が特徴です。 文献に拠ると江戸時代末期に広島藩因島の恵日山浄土寺の境内で住職の小江恵徳上人和尚が原木を発見したそうです。
サイズはみかんより大きく8.5センチから9センチくらいで、夏ミカンより早い4月頃に実がなります。皮が厚くて硬いから剥くのが面倒で最近の消費者には受けが悪いのかも知れませんが、私は美味しいと感じていました。