無想庵コラムCOLUMN

千両、万両  一月の茶花

千両、万両  一月の茶花

千両、万両(せんりょう、まんりょう)

名前がとても良いですね~!花の姿で好きというより、景気良い名前が大好きです。(笑)共に赤い実をつけるお正月の縁起木として親しまれています。お茶席でも他の花と組み合わせて荘られています。名前も見た目も似ている樹木であることから、どっちがどっちかごちゃごちゃになりやすいので、その違いを整理したいと思います。

センリョウ(千両)は、ツヤツヤした葉の上に乗るような形で直径5~6mmの実をつけ、その実は秋の終わりころに赤く熟します。別名は草珊瑚(クササンゴ)と呼ばれるそうです。赤や黄色など鮮やかな実で、花が少なくなる冬に、明るい彩りを添えてくれる花です。赤い実は、11月~1月頃見ることができ、古くから縁起の良い木として親しまれてきました。お正月用の生け花や茶花の花材として使われています。

もともとは、日本(本州中部以西)や台湾、中国などの山林の湿った半日陰に自生する植物だそうです。日本では、西日本の暖かい地域に自生しているので、寒さにはそれほど強くなく、花は黄緑色で6月頃にあまり目立たずに新梢の先端に咲きます。病害虫の心配は特に無いくらい丈夫ですが、強い日差しと乾燥を嫌います。樹高は0.6~1mくらいになります。

この花は江戸時代以前までは、仙蓼(センリョウ)と呼ばれていましたが、江戸時代に千両(センリョウ)へと変わったそうです。その理由として一説に、マンリョウ(万両)に似ているけれど、マンリョウ(万両)より実が少し小さいことと、実のボリュームが少ないため額の少ないセンリョウ(千両)と呼ばれるようになったと言われています。なんとも庶民的な発想です…。それを景気良いと思う私も似たものですが。

センリョウ(千両)は赤い実のイメージが強いですが、黄色の実をつける「キミノセンリョウ」や斑入りの品種もあります。実をたくさんつける姿は豊かなイメージがあり、「利益」「裕福」という花言葉がついています。

次に、マンリョウ(万両)について見ていきましょう。

マンリョウ(万両)は、写真の様に、晩秋から冬にかけて丸くて赤い実をたわわに実らせます。赤い実は11月~2月頃まで見ることができます。つややかな赤い実と常緑の濃い緑色の葉がお正月の縁起植物として定番となっていて、古くから庭木としても愛されています。樹高は0.3~1mくらいです。クリスマスのイメージも赤と緑ですから、人間の感性は洋の東西を問わないのかも知れませんね~!

マンリョウ(万両)は日本の関東地方より西に自生しています。なので寒さにそれほど強くはなく、寒さが厳しくなる地域では鉢植えで育てて、冬は室内で管理します。やや日陰でも育ちますが、どちらかというと湿った場所を好みます。病害虫もあまりありません。素人向きですね。

こちらも赤い実が一般的ですが、白い実の「シロミノマンリョウ」、黄色い実の「キミノマンリョウ」というのが有り、葉に斑の入る改良品種もあるそうです。

上の写真でも分かるように、マンリョウ(万両)は縁起物でありながら実を葉の下につけるため、徳はあるけれど控えめな印象があるとされ「陰徳」という花言葉がついたと言われています。

最後に肝心の見分け方を書き添えておきます。

  • センリョウ(千両)はセンリョウ科、マンリョウ(万両)はサクラソウ科の全く別の植物です。
  • センリョウ(千両)の実は、葉より高い位置に穂状につき、マンリョウ(万両)の実は葉の下に隠れるように付きます。
  • センリョウ(千両)は、マンリョウ(万両)より実が少し小さく、実のボリュームも少なめです。

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