無想庵コラムCOLUMN

卯の花 五月の茶花

卯の花 五月の茶花

卯の花(うのはな)

卯の花は空木(ウツギ)の花の別称で、日本では、主に5~6月に開花します。旧暦の4月の異称「卯月」はこの卯の花が由来で、「卯の花が咲く月」であることから名づけられましたそうです。 月の名前にまでなるなんて、この花はただ者(物)ではありませんね!誰もが知っている桜ですら月名になってないのに…。

空木(ウツギ)というだけあって、枝の中は空洞です。アジサイ科ウツギ属という分類らしいのですが、お茶の世界では、ユキノシタ科と分類されています。

茶花としてはこの卯の花のほかに、近縁種として、姫空木(ヒメウツギ)や曙空木(アケボノウツギ)もよく使います。白い沢山の花が垂れ下がり、掛花にしたりムクゲやヒメユリなどと籠の花入れに荘っています。

純白の花は「卯の花」とよばれて、古くから初夏のシンボルとして愛され、詩歌に詠まれて親しまれて来たようです。

清少納言の随筆『枕草子』には 初夏を告げる花である 卯の花と同じく、初夏の風物詩であるホトトギスの鳴き声を聞きに行った清少納言一行が卯の花の枝を折って車に飾って帰京する話があります。 他にも『万葉集』にも歌われたいます。

 霍公鳥(ほととぎす) 来(き)鳴き響(とよ)もす 卯の花の 共(とも)にや来(こ)しと 問はましものを

「ほととぎすがやってきて、鳴き声を響かせているよ。卯の花が咲くとともにやってきたのか、と問いたいものだな」と詠んでいます。

卯の花は平安時代、奈良時代から古来、日本人に親しまれていたのですね。

因みに食い意地が張っている私からすると、卯の花と聞くとまず食べ物の方を思い浮かべます。

おからの別名が、卯の花言うのも昭和の人にはわかってもらえると思いますが、卯の花の小さな花が集まる様子がおからと似ていることから、おからは卯の花ともいわれるようになったそうです。写真で見比べてみると白くてぶつぶつした感じが結構似てますよね。

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