朮(オケラ) 九月の茶花
朮(オケラ)
朮(オケラ)って変わった名前ですね。漢字も全く読めません…。最初に名前を聞いたときは虫の方のオケラしか思い浮かばず、てっきり虫のオケラに姿が似ているから名付けられたと思ってましたが、全然違うみたいです。古名がウケラが訛ってオケラと呼ばれるようになったそうです。
キク科の多年草ですが、花はアザミに似てますね。草丈は30から100cmにもなるそうです。(野生は見たことないです。)全体に白い軟毛があるのが特徴です。特に春の芽だしのころが目立ちます。雌雄異株で、根茎は木質でかたく、太くて長く、節があって芳香があります。春になると根茎から芽を出して、芽生えの上方の葉は筒状に巻いて立ち、下側から順に開いていくようです。春早く芽を出したオケラは綿毛をかぶっていますが、伸びてゆくうちにこの毛がとれます。若芽を摘むと白い乳液が出ます。春の若芽は、昔(今も?)生薬として利用されており、秋には根茎を山菜として食用にしています。
また刻んで焚くと、疫病よけになると信じられていました。邪気を除くものとして神事に用いられ、京都八坂神社では、除夜の鐘とともに正月に白朮(オケラの根茎)を焚く白朮祭(をけらさい)が行われています。この火を火縄に移して持ち帰り、これを火種に雑煮を煮て新年を祝う「おけら火」という行事はTVで年末行事としてニュースになるので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
葉は革質でややかたく、裂片は楕円形です。葉縁にはノギとよばれる細かいトゲ状の鋸歯があり、裏面に毛があります。
花期は9 – 10月頃です。茎頂に白色とか淡紅紫色で目立つ花を付けます。2cmくらいののアザミに似た筒状花だけの房状の花序です。驚いたことに、雄しべと雌しべの両方を持つ両性株と、雌しべだけが機能する雌株があります。頭花の総苞を囲んで、羽状に分裂する針状の苞葉に囲まれているのが特徴的です。
茶花としての扱いは、桔梗やホトトギスなどと一緒に蝉籠に生け、床柱に掛けたり、耳付籠などに単体で生けて床に荘るのも素敵かと思います。