無想庵コラムCOLUMN

松菊万年歓 九月の掛物

松菊万年歓 九月の掛物

松菊万年歓(しょうきく まんねんのかん)

古来より日本では、松は長寿の象徴ですが、菊も古来、不老長寿の花として珍重されてきました。これまでも松や菊の一行書を取り上げてきましたね。その松と菊を並べたこの句は秋のおめでたい席に相応しい一句です。万という字は旧字ではと書きます(三文字目)。

木戸 孝允(きど たかよし)を皆さんご存じだと思います。日本の幕末の長州藩士、勤王の志士として、明治維新後は、政治家になった人物ですね。 明治維新の元勲として大久保利通、西郷隆盛とともに維新の三傑の一人に数えられています。その彼の号が松菊と言います。
吉田松陰の影響を受けて経史を学び、江戸に上って幕末維新の国事に奔走した一方で、『明治詩文』にその名が見られる漢詩人でもあり、文集には『松菊詩文』『松菊遺稿』があります。茶道ではなく、煎茶の席にもしばしば顔を出れていたようで、文人的な素養としては西郷や大久保よりも上とのことです。 彼にだれが号を与えたのか(多分僧侶でしょうが)は不明です。

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