無想庵コラムCOLUMN

栗金団 十月のお菓子

栗金団 十月のお菓子

栗金団(くりきんとん)

十月は風炉から炉に変わる最後の月。お茶の世界では、「名残り月」と言って、文字通り風炉の季節を名残惜しみます。主菓子でも栗や柿など秋の食材を使ったものが登場します。茶席に出される主菓子が、木の実など、まだ砂糖の無かった利休の時代から栗は茶会記登場しています。

栗きんとんの名前の由来ですが、きんとんは漢字で書くと「金団」と書きます。金の団子もしくは金の布団という意味で、さつま芋や栗によるきれいな黄色から黄金に見立てられ、財産や富、金運を得る縁起物とされています。 一年の豊かさと勝負運の向上を願い、おせち料理の定番となっていますよね。

茶席のお菓子では、おせちの様な栗金団ではなく、栗を蒸してから中身を取り出し、少し粒を残しながら砂糖を加えて丹念に炊き上げ、そのまま茶巾で絞ったもので 、シンプルな和菓子です。

岐阜県の中津川市には栗金団の有名店が多いです。気になって理由を調べてみると、中津川市辺りは江戸時代に中山道の宿場町として栄え、旅人をもてなすために山栗を使った和菓子が次々に生み出されたことが理由だそうで、 栗金団発祥の地というわけです。

当然と言えば当然ですが、 中津川は県内でも有数の栗の産地で、古くから貴重な栗が採れていました。(実際、山に囲まれていますからね。)茶の湯文化も盛んで、多くの俳人や歌人が訪れ、歌会や茶会などが頻繁に催されていたようです。もちろん宴には郷土料理や菓子がふるまわれ、文化人たちの要望に応えるためにお茶に合う菓子を模索していくうちに、栗きんとんの品質も今の様にどんどん高くなってきました。

名店が沢山あるので、それぞれ食べ比べしたいものです。菓子匠によって味や食感は結構違うのものですから、栗金団も違いがあると想像しています。(知らんけど…)

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