青楓 八月の茶花
青楓(あおかえで)
「青楓」とは楓が若葉から青葉に移る頃の季節を指していて、初夏の季語としても使われています。俳句などの世界では、特に5月を示しているそうです。
確かに、この季節の薫風と呼びますが、初夏の爽やかな風と、 若葉や青葉の緑の香りはよく合いますね。
一方で、「青楓」と言う銘は、主菓子や茶道具の銘としてもよく使われていて、例えば、右のような練切餡を楓の型で抜いたお菓子も七月頃からの和菓子店で作られています。
そこで今月は茶花として、本物の?「青楓」を床に荘ってみることにしましょう。見て目でもわかる通り、楓(かえで)と紅葉(もみじ)は植物分類上は同じなんだそうです。
ですが、楓のなかで特に紅葉の美しい種類を【紅葉(もみじ)】 と呼ぶらしいです。(そういう区分けがあることも知りませんでした…。)
まだ少し稚く淡い緑の若葉は、夏季に入ってからの呼称らしいのですが、「青楓」は、その若葉から青葉に移る頃の楓を指すそうです。細かいですね…。他にも、この時季は、「青かえで」「若かえで」「楓若葉」などと呼ばれ、初夏の季語にもあげられているそうです。
楓は、葉の形がカエルの手に似ていることから「蛙手(かへるて)」と呼ばれて、それが「カヘンデ」や「カエルデ」「カヘデ」と変わり、現在の「かえで」になったといわれています。
青楓と山吹を荘ってみました。瑞々しい青楓に白い花が可愛い山吹はとてもお似合いの組み合わせだと思います。素焼きの小さな花入に指して、床柱に掛けただけですが、質素で可憐、涼しげな感じがして暑い日が続く夏の茶席に涼を運んでくれます。