無想庵コラムCOLUMN

栗粉餅 十月のお菓子

栗粉餅 十月のお菓子

栗粉餅(くりこもち)

栗粉餅は岐阜県の中津川の名産ですよね。上の写真は恵那福堂さんの栗粉餅で上に散らしてあるのは、きんとんをそぼろ状にして上からまぶしています。旅や出張のお土産に買うにはいいのですが、茶席の主菓子は生菓子なので日持ちがしないので、お茶席に使っていただくのは難しいですね。それに慣れないと頂くのがちょっと難しそう。通常、茶席では懐紙の上に菓子鉢から一人づつ取り分けていきますので、きんとんとはいえ写真の様な小粒状のそぼろはやはり取り分けるのも、食べるのも粗相をしやすい感じがします。日持ちもしないので、冷凍にしての発送らしく、味が落ちないのかちょっと心配。あくまで自宅のお茶受けになりそうです。

栗粉餅の歴史は古く、室町時代には茶会で使われていたという記録があるそうです。あるとき公家の近衛家(このえけ)が、和菓子店の虎屋と亀屋に栗粉餅を前日におさめてくれと依頼しました。すると、前日納品では品質が保てないと、どちらのお店も断ったそうです。身分制度の厳しい時代に公家の頼みを断るなんて、勇気もあるし、それほど栗子持ちは、鮮度が大事なお菓子なんですね。今でも販売時期は栗の旬である9月もしくは10月から11月限定で、売っているのも中津川周辺がほとんどだそうです。言わば地産地消のレアなお菓子ということでしょう。 今は宅配が発達して冷凍なら送ってくれるお店もあるみたいですけど、月一回限定みたいですよ。

そこで、私は京都に出店している虎屋さんの栗粉餅を買いに行ったことがあります。梅田やミナミの百貨店に出店されているのですが、生菓子は京都に工場があるので大阪のお店では買えないみたいです(泣)。受注生産して~

右の写真がそうですが、これなら普通のきんとんの生菓子なので、懐紙の上で上手に菓子切で切り分けいただけます。こし餡を求肥で包んでいます。外側は栗と白餡を混ぜた生地をそぼろ状(でも普通のきんとん製の菓子の形状)にしてまぶしています。

これに似せて馴染みに和菓子屋さんに作って頂きます。ご主人に買って持って行かないと行けないけど…。

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