無想庵コラムCOLUMN

萩の花 十月のお菓子

萩の花 十月のお菓子

秋の七草の筆頭に詠われている「萩の花」は、万葉集で142首も詠まれているほど昔から日本人にはなじみ深い花です。愛らしい紅紫色の花が咲いている感じを練り切りで表現されています。 (写真のお菓子はちょっと茶巾絞りっぽく見えますが一応練り切り製とのことです。)

毎月読んでくださる方は、よくご存じだと思いますが、余り和菓子を食べる機会の少ない男性陣に向けて、少し説明したいと思います。 練り切りとは、和菓子の種類の名称の一つです。白あんに砂糖、山芋やみじん粉などのつなぎの食材を加え、調整し練った(練り切り)あんを主原料とする生菓子をそう呼びます。この白あんに色を付け、四季折々の植物や風物詩をかたどって、繊細な細工をほどこし、茶席などの席でだされています。分類するならば、日持ちしない上等な生菓子なので、上生菓子というカテゴリーになります。 正しい名前は練り切りあんと言いますが、一般的には略称で練り切りと呼ばれています。 以前別の記事で和菓子のことを説明している記事があるので、良かったらそちらを参考にしてください。

萩の花はこの生菓子を発注した人、もしくは菓子職人が付けた銘ですので、外見がよく似ていてもその時期や趣向によって違う銘が付けられます。私もお菓子屋さんにご注文するときは、饅頭系にするのか、練り切りにするのか、外郎系にするのかなど素材を選び、イメージと銘をお伝えして作ってもらっています。有名店で最初から銘をつけて販売されている場合はそこから選ぶことになりますが、有名なお菓子をお取り寄せするのも、毎回というわけにはいきませんから、馴染みに和菓子屋さんで、自分好みのお菓子を注文するのも楽しいですよ。

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