お茶の道具(一)
茶の湯で使う道具のことを茶道具といいます。大別すると次の5つに分類されます。
- 点前道具…お茶を点てる道具全般を言います。炭道具類と点茶道具類に分けられます。客が拝見するのはこの点茶道具と装飾道具で、点茶道具の拝見の仕方を拝見の仕方(一)で説明します。
- 懐石道具…お膳、飯椀などの食器類、湯次(ゆつぎ)、酒器など
- 水屋道具…裏方の水屋(台所)で使う道具全般
- 装飾道具…茶席の床に飾るもの、掛物、香炉、花入、薄板など
- 待合、露地道具…待合(まちあい)や露地(ろじ)で使うもの、露地草履や手水柄杓など
点茶道具とは?
1.風炉(ふろ)…炭火を中に置き、五徳に釜を掛けて湯を沸かすための炉。5月~10月の間使われる。移動可
2.釜…茶の湯釜。風炉や炉の五徳の上に置いて、湯を沸かす。鋳鉄製がほとんど。形は丸形、筒形、肩衝き形
3.敷板… 風炉の下に敷く板のことです。 敷板は、形状により大板、小板、丸板に分類され、真塗(しんぬ り)、掻合(かきあわせ)、荒目(あらめ)、鉋目(かんなめ)などがあります。
【右図写真】 中央の黒いものが風炉、その下が長板
釜は肩衝筒釜、五徳が中に見える
4.棚…茶道具を飾りおくもので広間の点前によく使われる。種類は沢山あるが大別すると①台子(だいす)②大棚③小棚④仕付棚(しつけたな)の4種類。
5.風炉先…広間で点前をする畳の奥かどに立てる二枚折の屏風。
【左写真】 大棚の一種で紹鴎棚、奥に風炉先が見える
6.蓋置(ふたおき)…釜のふたを釜から外したときに置いておく道具、柄杓も置く役目もある。陶器製、古銅製、竹製があります。 【右写真】陶器製で柄杓の横にある。
7.柄杓(ひしゃく)… 湯や水を汲み取るための柄のついた道具です。点前に用いるものは竹製で、湯水を汲む円筒状の容器の部分を「合(ごう)」といい、長い柄を取り付けてあります。 天板に乗っているものが柄杓。
8.水差(みずさし) … 茶碗をすすぐ水や、釜に足すための水を入れてある点前座に据える道具です。
水指の種類は、金属・磁器・陶器・塗物・木地(きじ)のものなど色々あり、季節や棚やその他合わせる道具などによって変えます。 【右写真】下の段の青い器
9.茶入… 濃茶を入れる陶製の容器。象牙製の蓋をして、仕覆(しふく)という袋をかぶせます。
【左写真】茶入と仕覆
10.薄茶器(うすちゃき)… 薄器(うすき)とも呼ばれ、薄茶を入れる容器の総称です。
材質は、木地・漆器・象牙・竹・一閑張・籠地などがあります。形状は、大きく分けて「中次(なかつぎ)形」と「棗(なつめ)形」とに分けられ ます。
11.茶杓… 茶入や薄茶器の中の抹茶を掬って茶碗に移す匙のことです。六寸(18センチ)の長さ。銘がついていることが多く、作者も聞かれます。
竹材がほとんどで、他に象牙・木地・塗物・鼈甲・銀・砂張・陶器などのものがあります。
12.茶筅… 茶碗に抹茶と湯を入れ、それを撹拌するために用いる竹製の具です。
13..茶碗… 茶を飲むための容器。
茶碗の種類は、日本の窯で焼かれた「和物(わもの)」と和物以外の「唐物(からもの)」に大別されます。
和物は、楽焼と楽焼以外の国焼に分けられています。唐物は、朝鮮で焼かれた高麗(こうらい)とその他に別けられます。
14.建水(けんすい)… 点前の最中に茶碗をすすいだ湯水を捨て入れるための器です。
唐銅、砂張、毛織(もうる)、七宝、鍍金、真鍮(しんちゅう)などの金属や陶磁器、竹木製で作られています。
15..長板(ながいた)…台子の簡略化されたもの。天板と柱を取り除き、地板部分だけを見立て見立てている。桐の真塗(しんぬり)が一般的。真塗とは 黒漆で塗ることで木地は見えません。
16.茶箱…点前道具一式を収納して持ち運びするための箱。茶碗や茶杓、棗など点前道具のほかに
茶巾筒、茶筅筒、振出菓子器 といった茶箱特有の道具がある。