お茶会(一)
大寄せのお茶会
1.大寄せのお茶会とは何か?
本来、お茶会とは茶事(ちゃじ)と呼ばれる正式な茶会の一部分を独立させて簡素化したものです。一度に20~30名のお客様を大広間に席入りしていただき、20分程度の短時間でお菓子と薄茶をお出しします。
お客様が大勢いるので、亭主とお話するのは正客(しょうきゃく)と呼ばれる一番上座に座った方のみ。他のお客様は上座(右隣)の方を真似するだけ。そのため初心者でも気軽に参加できて、お茶会の雰囲気も味わうことができます。
2.大寄せのお茶会に行ってみる
神社や地域の茶道連盟が主催していることが多く、一般の方でもその日に飛び入りで参加できます。服装は茶席の装いの項を参考にしていただき、持ち物はできれば扇子、懐紙、菓子切りの3つだけは持っていった方が良いでしょう。
経験者の方と一緒のときは安心ですが、一人で参席するときは、席入りした後、お隣の方に「慣れておりませんのでよろしくお願いします」と一言挨拶しておくと、いろいろ教えていただけます。上座の方や詰め(一番最後)の席は間違っても座らないようにしましょう。特に男性はスーツや着物を着ていると周りから勧められる場合があるので、言葉遣いと言い方に気をつけながら固辞するようにしてください。ご自身のためでもあり、また茶会をスムースに進行するためでもあります。
正座は足がきついですが、大勢が席に入るので隣の人との間隔が狭く、あぐらをかくスペースがありません。正座いすを持っていくなどした方がいいかも知れません。
3.大寄せのお茶会の流れ
- 受付
- 寄付(よりつき)または待合(まちあい)
- 薄茶席または本席(ほんせき)
- 退席
受付でお茶券か会費を渡し、芳名帳に記帳します。大概は筆ペンで縦書きですが、ちょっと格式があると墨と筆が置いてあります。書き慣れないと自分の名前でもうまく書けませんので、せめて筆ペンで書く練習はしておいた方が良いと思います。(何度も後悔してきました)
待合席では床に掛軸と会記(かいき)そして道具の箱書(はこがき)が置いてあるので拝見する。席入りを待っている間に茶席に持ち込まない荷物類を風呂敷に包み、クロークや荷物置き場にしまう。
本席では、一度に大勢の人が入るので本来する席入り時の拝見は省略して、順に席に座る。床や棚、釜などは退席時に主茶碗や茶入れ、茶杓などと共に拝見させていただく。全員着席したら、正客は一同に高座を勤める挨拶をされるので総礼(そうれい)をする。
席主(亭主)が入場して正客と挨拶。続いて一同に挨拶をするので総礼。主菓子が正客に運ばれ、続いて連客(れんきゃく=次客以降全員のこと)にも主菓子が菓子鉢(器)にもられて運ばれて来ます。いよいよお茶会の始まりです。(お茶会自体の細かい内容は別コラムでご紹介します)
本席が終わると各自退席します。この時席入り時に見られなかった床や棚、釜など道具類などを拝見できます。席中に亭主は床の掛軸から順に説明してくれますが、待合にあった会記を書き写しておくとお道具を理解するのに大変勉強になります。