無想庵コラムCOLUMN

薄茶と濃茶

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日本茶の中でもいろいろな種類がありますが、茶道でお茶といったら、薄茶と濃茶の2種類になります。美術館や神社など公共施設で行われる一般の人が気軽に出られるお茶会(大寄せの茶会)では、薄茶が出ます。京都など観光地のお茶屋さんでも抹茶として出されるのも、まず薄茶です。

薄茶は裏千家では茶筅で細かく泡立てています。クリーミーなので、それほど苦く感じられないと思います。慣れてない方でも比較的飲みやすい抹茶の飲み方です。(写真左)

お茶事と言われる本格的なお茶会になると薄茶の前に濃茶が出ます。(左の写真右)

見たとおり、濃茶は艶のある深緑色で泡立ててはいません。薄茶がお茶を点(た)てるというのに対し、濃茶は練(ね)ると表現されます。点てる場合は茶筅を細かく振動させるように高速で振りますが、練る場合は 茶筅は振らず、 お湯と抹茶を馴染ませる感じで混ぜ合わせる?ようにします。茶筅を振らない分、点てるのは濃茶の方が難しいです。うまく練れずに、だまができたり飲めないほど苦すぎたり…。ごまかしが利かないので実力がわかってしまいます。

濃茶は抹茶の中でも上等な種類のお茶を使っていて、伊藤園、福寿園、一保堂、小山園など名前だけは聞いたことがある会社がお家元のお好みなどお茶銘をつけて販売しています。濃茶のお茶銘には共通して「松花の昔(しょうかのむかし)」「雲門の昔(うんもんのむかし)」のように「昔」という名前がついています。薄茶の方もお茶銘がついていてこちらは「 清浄の白(せいじょうのしろ) 」「 郡鶴乃白(ぐんかくのしろ) 」のように「白」という名前がつけられています。  ※理由についてはまたいつか。

本来、お茶会では出されたお菓子やお茶のことについて、(お客を代表して) 正客 と亭主が会話をしてくれるので、同伴のお客としては会話を聞いているだけで良いのですが、お茶には種類や銘があるくらいは知っておいた方がより理解が深まると思います。

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