無想庵コラムCOLUMN

道具の拝見の仕方(三)茶碗の見所(後編)

道具の拝見の仕方(三)茶碗の見所(後編)

口造り・口縁・口辺

口部の作行を称する語です。飲み口をつける部分であり、口縁の厚みや端反り(縁の開き具合)の具合で、茶碗全体の風情や、お茶の味まで変わるなど、微妙な変化が茶碗全体の印象を左右します。

茶碗の外側の口造りから腰までの部分を胴といいます。筒茶碗、平茶碗など茶碗の形を決める部分で、ろくろ目、へら削り、釉薬の景色や絵付けなどが見所となります。

胴の下部から高台脇までの張り出し部のことで、茶碗の持ちやすさや、手にしっくりと馴染むかどうかが腰のつくりにより影響します。

見込

茶碗内側の中央部分を見込といい、お茶を飲んだ後に、わずかに残ったお茶が茶溜(ちゃだまり)に残って、これも景色となります。また、目跡(重ね焼のときの付着を防ぐ砂粒の跡)や、茶巾刷り(茶巾で口縁を拭く時に、茶巾が当たる部分)、茶筅刷り(茶筅で抹茶を点てる時に、茶筅の当たる部分)などの曲線や深さなども見所です。

高台(こうだい)

茶碗の底に付けられた台座部分で、「器好きは裏を見る」といわれるほど、 茶碗の大きな見所のひとつです。高台の削り味により、「大胆な」「勢いのある」「繊細な」といった表情がでます。

高台のつくりには、一般的な「輪高台」、輪高台の一箇所を削り取った「切り高台」、輪型にせず、縦横十字に削り取ったりする「割り高台」、高台外側を、竹の節のような突起のある表情に削る「竹の節高台」など、様々な特徴ある高台があります。

高台の内側を高台内といいますが、高台の中央部を、兜の頭頂部のような突起を残して削る「兜巾(ときん)高台」、ろくろの回転を利用して削りカンナで渦巻き状に削る「渦巻き状」、土の種類・固さ・カンナの角度により生じる「縮緬皺」など、高台内にも、いろいろな表情があります。

高台脇

腰の下部から高台ぎりぎりの辺りのことを高台脇といい、釉薬と生地の境目になることが多く、釉薬がたまってできる 「釉だまり」 や、釉薬が縮れてできる 「梅花皮」などが見所になります。また、へら削りも見所となっています。

落款・刻印

作者が自分の印を押したり、サインを彫ったりします。楽茶碗の楽家のように代々継承されている作家は、代ごとに印の特徴があります。

今回も私の知識だけでは不十分でしたので、茶道具のいわの美術さんの解説を転載いたしました。

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