無想庵コラムCOLUMN

道具の拝見の仕方(二)茶碗の見所(前編)

道具の拝見の仕方(二)茶碗の見所(前編)
楽茶碗

お茶碗は、お客様が実際に手に取り、口をつける茶道具ですので、茶碗を選んだ人、お茶をいただく人の感性が、茶碗を拝見する際の最大のポイントとなるといわれています。

茶の湯で使われる茶碗の系統は大きく分けて三つあります。

一つ目は唐物と呼ばれる中国産のもの。もちろん、昔の中国は文化発祥の地ですから最高級品の扱いで格が最上位です。次に高麗物と呼ばれる朝鮮半島の窯で焼かれたもの。和物と呼ばれるのが、利休の頃から始まった茶人が各地で焼かせた日本産のものです。その他、安南など南方産(東南アジア産)やオランダなどのヨーロッパ産の茶碗があり、様々な産地の茶碗があります。

天目茶碗

抹茶の飲茶法が平安時代末に宋(中国)が伝来し、それまでの中国産の青磁や白磁の茶碗に加えて、天目茶碗が用いられるようになり、この時代には唐物がもてはやされるようになりました。

高麗茶碗

高麗茶碗に関しては、十五世紀末から十六世紀初期には日本に伝来したと考えられており、十五世紀あたりの茶会記に登場する高麗茶碗の名称には、狂言袴、白高麗、井戸、三島、割高台の五つがみられます。 

和物の茶碗は、京都の長次郎が創案した楽茶碗、桃山時代に美濃で焼かれた瀬戸黒や志野、織部の茶碗などがあり、江戸時代に入ると、萩、唐津、高取、京焼の仁清などが登場しました。

茶碗鑑賞のポイントの第一は姿、すなわち形です。茶碗を拝見するときは、まず全体の形や景色を鑑賞し、茶碗に入ったお抹茶の緑の景色まで楽しみます。

茶碗の姿を拝見するにあたっては、胴の形そのものも鑑賞のポイントとなります。胴の形は、やきものの種類によってほぼ定まった形があり、その曲線はさまざまですが、その姿の違いも鑑賞の楽しみとなります。

茶碗の拝見では、全体の姿はもちろんのこと、肌合いなどの土の様子や、色、窯変など釉薬の特徴、絵付け、高台の形や削り方などもポイントとなります。

茶碗の拝見にあたっては、 事前に書物などで知識を頭にいれておき、自分自身の経験とあわせた上で、自分の「好み」の物差し(判断基準)を確立しておくことが大事だと思います。

唐津茶碗

例えば、唐津茶碗の特徴をあらわす表現として「ざっくりとした土味」といった言葉が使われることがありますが、どういった土味に対して「ざっくりと」という表現を用いるかは、それまでどれだけの作品を目にしてきたかどうかの経験値によって異なります。日ごろからの作品を多く目にして、経験を積み、自分なりの判断基準を磨いておくことが大切です。

今回は私の知識だけでも不十分でしたので、茶道具のいわの美術さんの解説を転載させていただきました。
次回は茶碗の各部の見どころについて詳しく解説していきたいと思います。

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