茶碗の種類
茶碗の種類は、日本の窯で焼かれたものを「和物(わもの)」と言い、和物以外のものを「唐物(からもの)」と呼び、二つに大別されています。
「和物」の中でさらに、「楽焼」と楽焼以外の「国焼」に分けられています。「黒樂茶碗」がやはり和物の中では最高級品となるのではないでしょうか?
「国焼」には、文禄慶長の役の時連れ帰った朝鮮陶工が起こした「萩」、「唐津」、「上野」、「高取」、「薩摩」などの窯と、「信楽」、「備前」、「丹波」、「瀬戸」、「志野」、「京焼」などがあります。
「唐物」は、中国で焼かれたものと朝鮮で焼かれた「高麗(こうらい)」とその他東南アジアで焼かれたものに別けられています。
中国の焼きものとしては「天目」、「青磁」、「白磁」などがあります。「曜変天目茶碗」が最高級品とされていて国宝に指定されていますね。
また唐物の「天目茶碗」であれば、天目釉と呼ばれる鉄釉をかけて焼かれた、すり鉢状の形をした茶碗のことですが、広い意味でいえばこの形の茶碗を天目と言ったりもします。 天目茶碗は天目台という主に木製の台に乗せて使われます。
朝鮮半島で焼かれたものを「高麗」と総称しています。これには、「井戸」、「熊川(こもがわ)」、「呉器」、「御本」、「御所丸」、「堅手」、「粉引」、「三島」、「伊羅保」、「蕎麦」、「斗々屋(ととや)」、「絵高麗」などがあります。
「大井戸茶碗」が最高級とされています。
その他産地としては安南(あんなん)今のベトナム産のものなど色々あります。それにしても当たり前とはいえ、昔の茶碗は値段は簡単には変えないのに、作品としては地味ですね。
茶碗には多くの種類がありますが、形と肌(土・焼き方・釉薬)、窯(どこで焼かれたか、産地)が見分け方の着眼点です。
例えば、和物の中の「樂焼」であれば、ろくろを使わずに、手づくねで整形されていて、他の陶磁器よりも低温で焼成されています。赤樂茶碗であれば赤い土に透明の釉薬をかけ、黒楽茶碗よりさらに低温で焼成します。
志野茶碗、黄瀬戸、織部茶碗など、それぞれの産地や形、釉薬などが特徴となってそのまま茶碗の名称・種類となっているものもあります。
志野も織部も元は人の名前で、陶工ではなく作らせた人の名前です。『へうげもの』というマンガでメジャーになった古田織部が織部焼きの考案者なのはご存知かと思います。
瀬戸や信楽などは地名ですね。
このルールで言えば樂茶碗は千利休茶碗とか京茶碗となるところですが、秀吉よりさずかった「樂」の家号が茶碗の名前となりました。