女郎花 十月のお菓子と銘
女郎花(おみなえし)
秋の七草のひとつにも数えられるオミナエシ(女郎花)。小さな黄色い花が集まった房と枝まで黄色に染まった姿が特徴的です。オミナエシ(女郎花)の名前の由来は、いくつか有りますが、個人的には次の説を押したいと思います。 女飯(オミナメシ)という言葉が由来しているという説です。もち米で炊くご飯を男性が食べていたことから白い飯のことを男飯と言ったことに対し、女性は黄色い粟のごはんを食べていたので粟飯を女飯と呼ばれてたそうです。その黄色い粟飯を盛った女飯の見た目とオミナエシ(女郎花)の花が似ていることから「オミナメシ」→「オミナエシ」と言われるようになったそうです。 他にも 近縁種にオトコエシ(男郎花)よりひと回り小さく可憐な花姿をしているので、それとの対比で女性らしい印象から「女郎花」と呼ぶようになったとも言われていますが、どっちが先に名付けられたのか疑問なので、私はご飯説です。(食べ物が好きというのもありますが…) 開花時期は夏から秋にかけてです。万葉集にも詠われている古くから日本にある花で、薬草としても使われていました。
黄色がとても鮮やで綺麗な花なので、茶花としてもよく使っています。秋の七草を代表する花ですので、秋海棠(しゅうかいどう)や桔梗(ききょう)とともに生けると秋らしく床がとても綺麗になります。夏の時期なら木槿とも合いますよね。
実は茶道には禁花というものがあり、臭いの強い花や棘のある花は使わないのが決まりです。南方録にも「利休禁花」が載っています。
「花入れに入れざる花は沈丁花(じんちょうげ)、深山しきみに、鶏頭(けいとう)の花、女郎花(おみなえし)、柘榴(ざくろ)、河骨(こうほね)、金盞花(きんせんか)、せいれい花を嫌い事すれ」
理由は 茶席は香を焚くので 香りの強い花はダメ、また毒々しい花、名前の悪い花も避けた方が良いとされています。 利休は「これ初心者の為なり」とも言っていますが、実は現代では、女郎花や河骨など茶席でも使われています。柘榴の実は確かに使ったことがありませんが、要は茶席のテーマとかお客様のことを想って選べば、後は亭主の働きということです。基本的な考え方としては
- 調度品に書かれた花……ふすまや掛け軸、屏風などに花の絵が書かれている場合は、重なってしまうので、違う花を選びます。
- 枯れた花や返り咲きの花……茶花は季節を先取りした花が好まれるので、枯れた花、時期をはずれて咲く花は禁花になります。
お菓子編
馴染みの店でつくってもらった練り切り製の菓銘『女郎花』はこんな感じです。(写真と取り忘れたのでネットで探しました。ほぼこんな感じ)他にもきんとん製では名古屋の万年堂さんの「女郎花」は美味しいと評判ですが、まだ食べたことがないので、名古屋出張の折には買い求めようと思ってます。ただ生菓子なんで茶席に出すには日持ちが短すぎるので、多分私だけが食べることになりそう(笑)
秋の季節なら練り切りですが、夏に同じ銘で作るとしたら、葛菓子になると思います。女郎花の様に季節を跨いで花期がある花はそれぞれの季節で重宝しますね。