早蕨 二月の銘
早蕨(さわらび)
芽をだしたばかりの蕨(わらび)のことです。 蕨は、早春にこぶし状に巻いた新芽を出しますが、これを早蕨と呼び、俳句の世界では、春の季語になっています。 万葉集や源氏物語にもにも出てきています。
茶碗やお茶杓にも使われる銘です。お茶碗で有名な「さわらび」と言えば、東京国立博物館所蔵の魚屋(ととや)茶碗です。魚屋(ととや)茶碗は、朝鮮半島で焼かれた高麗茶碗のひとつで、 もとは、朝鮮の地方窯で量産された日常使いの器が、 日本の茶人の目にとまり茶の湯の席で使われるようになったものなのです。 侘茶(わびちゃ)が大成される天正年間(1573~92)から評価を高め、さかんに輸入されるようになったそうです。 魚屋(ととや)は斗々屋とも書きます。目跡が小さく、数が多いことと、変化に富んだ釉景色が特徴です。 魚屋( 斗々屋 )って変わった名前ですよね?名前の由来を調べてみると諸説あり、ひとつは利休が堺の魚屋の棚から見出したからといものと、もう一つは堺の商人・斗々屋の所持の茶碗から言われるようになったとも言われています。
個人的にはこの早蕨の意匠は、どうしても織部焼を思い起こさせてしまいます。(茶碗で見かけたはずなのですが、写真が見つからないので、イメージとしてこんな感じ)
お茶席には欠かせない主菓子でも、よく「早わらび」の銘はお見かけします。有名なところでは京都の和菓子屋さん、塩芳軒(しおよしけん)さんの「早わらび」でしょうか?粒あんをヨモギ入りの羽二重餅で包んでいます。お気に入りの生菓子です。三月に発売されるそうです。(なので今月のお菓子にしてません…)