菓銘とは何か
毎月、一本ずつ投稿している「今月のお菓子」ですが、お菓子の種類をコラムにする場合もありますが、「唐錦」とか「花衣」など種類とは違う銘で選んだお菓子を題材に選んだりしています。
これらの言葉は菓銘(かめい)と言って、お菓子の種類ではない為、時々この菓銘を言っても近所の和菓子屋さんでは通じないという事象が起きているみたいです。私の説明不足でそういう種類の和菓子をあると思われた方がいて、ご迷惑をおかけしたようです。すみません!
そこで、今日はこの菓銘とは何かを理解していただけるように説明させていただきたいと思います。別のカテゴリーの『銘を理解する』のコーナーでも取り上げていますが、銘とは物そのものに作者や持ち主が付けた固有の名前です。ニックネームとか愛称とはまた違いますが、全く材料も一緒、色形が一緒でも違う菓銘が付くことは十分あり得ます。むしろ私は和菓子屋さんに生菓子を作ってもらう時は、季節を考え、自分のイメージを伝え、銘は「○○」で考えてますとお伝えして、注文しています。
考え方として銘は無限に在ると言えますが、大体季節によって相応しい銘というものはありますし、お茶席のテーマに沿った銘が付けられています。お茶席の会話(問答)の中でお菓子のご銘を聞くシーンがありますが、慣れてくると大体菓銘の想像がついてきます。ですので、捻ったというか想像以上に良い銘が付けられているとすごく感心しますし、流石だな~とそして自分ももっと勉強しないとなと思ったりしています。
江戸時代は、歌舞伎や浮世絵など様々な文化が発展しましたが、和菓子もその一つです。参勤交代によって人や物の行き来(物流)が整備されたのも大きいと思いますが、お菓子の材料も多様になった行ったのだと思います。
菓銘も和菓子を作っている屋号から付いたり、和歌や俳句などから付けられたりと菓銘の由来も様々です。「おはぎ」はだれでも知っている代表的な和菓子ですが、今は一般名詞になっていますね。実はこれも初めは「萩の花」という菓銘だったそうです。理由は小豆の皮が点々と付いている様子から萩の花に似ているという見た目の理由からでした。