無想庵コラムCOLUMN

宗旦椿 二月の茶花

宗旦椿 二月の茶花

宗旦椿(そうたんつばき)

咲き始めは極淡桃色の筒咲きで 咲き進んでラッパ状になると移り白になり 遠目には白色に見える。 京都 大徳寺聚光院に原木があり 古くから「宗旦椿」と呼ばれていた。

『宗旦の落ち椿』というお話をご存じでしょうか?千利休の孫に当り、三千家に分かれる前の千家茶道三代目宗匠の千宗旦が落ちた椿の花を生きかえらせた話という逸話です。

宗旦と親しい安居院(あんごいん)正安寺の住職が、庭の妙蓮寺椿が美しく咲いたので、小僧を使いに出しました。「十分に注意して、花を落とさないように持って行きなさい」と宗旦のもとに一枝届けさせたのです。
ところがその途中、そのたった一輪の花が、枝から落ちてしまいました。もちろん小僧は困り果ててしまいます。寺へ帰ることもできず、意を決して宗旦のもとを訪れ、事の顛末を宗旦に申し上げました。

黙って聞いていた宗旦は「よくぞ正直に申された。しばらく待っていなさい」といい、椿の枝と落ちた椿を持って今日庵に入って行きました。

宗胆は壁床に掛かった掛物をはずし、利休作の竹花入「園城寺(おんじょうじ)」を掛けて枝を入れ、落ちた花をその下に置き、小僧を招き入れて薄茶を振る舞ったというお話です。

『 淡交増刊号:床かざりの逸話 』というコラムに書かれているお話ですが、「先意承問」と言って、意味は相手の心を汲み取ってよく受け入れるということだそうです。

失敗した人を怒鳴りつけるのは、簡単で愚かなことですが、相手を思いやり、助けてあげる優しさが素晴らしいですよね。しかもそれを起きた事実をそのまま受け入れ、それをむしろ活かすことができるなんて本当に素晴らしい事だと思います。

私など沢山ある花材からでもセンス良く荘ることが出来ないというのに…。お茶の心は底がないくらい深いですね~。

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