木槿 八月の茶花
木槿(むくげ)
アオイ科フヨウ属の落葉樹。庭木として広く植栽されるほか、夏の茶花として主役級の花です。右の写真のような 白の一重花に中心が赤い底紅種は、千宗旦が好んだことから、「宗丹木槿(そうたんむくげ)」とも呼ばれています。
中国が原産で、 日本へは古く渡来し、平安時代初期にはすで植えられていたと考えられています。暖かい土地では野生化しているくらいたくましい樹木です。基本的には観賞用に栽培されてきていますが、手間があまりかからない程強い樹木のせいか、庭木や街路樹、公園などに広く植えられています。実際、近所でも公園などで時折見かけます。
アジアだけかと思ったら、気候の厳しそうな中近東でも、カイロ、ダマスカス、テルアビブなどの主要都市で庭木や公園の樹木として植えられているらしいです。今は海外旅行は中々行けませんが、中東で茶花として馴染のある木槿を見たら、多分感慨深くなるのではないかなと自分では思います。
樹高3 – 4メートル くらいにない、葉は互生しています。(互生の説明は別の項目で説明しています)葉の形は卵形から卵状菱形で、先が浅く3裂しており葉縁に粗い鋸歯があります。花期は夏から秋(7 – 10月)で枝先の葉の付け根に、白、ピンク色など様々な花色の美しい花をつけます。ハイビスカスと同じ類なので、花形が似ていますよね。花の大きさは径5 – 10センチメートル 。5つ花弁がやや重なって並び、雄しべは多数つき、雌しべの花柱は長く突き出ているのが特徴的ですね。
花は一日花なので、朝に開花して夕方にはしぼんでしまいます。種類として一重咲きが多いですがが、八重咲きの品種もあります。
植物の分類は沢山階層があるのですが、木槿はバラ類、アオイ目、アオイ科フヨウ属という分類です。フヨウ属とあるように、同じく夏の茶花として欠かせない芙蓉にすごく似ています。 ムクゲ、芙蓉、ハイビスカスはいずれもフヨウ属に分類され、花の形がよく似ています。また開花期も同じくらいなので、 私も長い間見分けがあいまいでよく間違えていました。(泣)
そこで、それぞれの見分け方を書いてあるグリーンスナップさんのサイトからご紹介します。悩んだときは、花の中心にある柱頭(チュウトウ)で見分けるのがわかりやすいらしいです。
花の名前 | 木槿(ムクゲ) | 芙蓉 (フヨウ) | ハイビスカス |
花の特徴 | 柱頭の下におしべが付く めしべの先がまっすぐ 小ぶり | めしべの先上を向く 大ぶり | おしべが柱頭の先端に付く 花の中心部が赤やピンク |
葉の特徴 | 花より小さく 濃い緑色 切れ込みが深い | 花と同じくらいの大きさ 薄い緑色 | 葉にツヤがある 切れ込みが浅い |
ハイビスカスは言葉では言い表しにくいですが、芙蓉や木槿とは雰囲気が違いますし、原色系の花なので見分けが付くと思います。
並べてみると分かり易いのですが、木槿は芙蓉より花びらの大きさが小ぶり葉も小ぶりといった印象です。