無想庵コラムCOLUMN

青山緑水 五月の掛け物

青山緑水 五月の掛け物

青山緑水(せいざんりょくすい))

お茶席で掛かる一行書のお軸は、常用漢字のしかも楷書に慣れ親しんでいる現代人にとっては、読み辛いですよね?最近になってやっと推測出来るようになりましたが、初心者にとっては、見た瞬間読めん!と諦めるお軸が続きます(笑)そこで、今回は草書過ぎて読めないけど漢字自体は簡単なものでよく茶席に掛かる物を探してみました。

右の写真がその一例です。揮毫(書を書くこと)する方は禅僧が多いです。それぞれに特徴があり字体が力強かったり、繊細だったりと色々ですが、字の崩し方は?同じようなので特徴的なお軸を見てみましょう。「」という字はどの様に崩すのか、「」を言う字はどうかなど一文字ずつじっくり観察して特徴を覚えると、初めて出会うお軸でも何となく感が働き、読めるようになってきます。禅語自体をいくつか知っているだけでもこれかな?と分かったりします。

読めれば偉いというわけではないですが、いつも「お読み上げを」と亭主にお尋ねするばかりではなく、お客側も読めれば茶席での会話も弾み、深い話に発展するかも知れません。

青山緑水の意味は、直訳すると字の通り、山は青く、水も澄んで緑色に見える、ということですね。森羅万象の象徴を表しています。 新緑映えわたる季節、雄大な自然にあって、互いに耀き合い、命をたたえ合う。自然から恩恵を得て、生かされていることに感謝し、日々家の暮らしも穏やかであるかと問うてみる。 という意味だと解釈しています。

出典は碧巌録という書物ですが、その中に次の句があります。

青山緑水元依旧 明月清風共一家』   読み方は 「青山緑水は元旧に依り、明月清風は共に一家。 (せいざんりょくすいはもとふるきにより、めいげつせいふうはともにいっか。)」です。 意味は「青山と緑水は元通りで変わりなく、明月と清風も昔通り同じ。青山緑水も名月清風も昔通りで変わりがない。」といった感じでしょうか。青山緑水明月清風も一行書でよく登場する句ですので、記憶に留めておく価値はあります。

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