風従花裏過来香 四月の掛け物
風従花裏過来香
かぜは かり よりすぎきたって かんばし と読みます。出典「古尊宿語録」
「従」を「より」と読むのがミソ。例のごとく漢文は読み順があっちに行ったり戻ったりとややこしい上、法則性もあまりないので句を知らないとなかなか読めませんよね!おまけに草書で旧漢字で書かれていたらさっぱりです!(笑)
右の掛け軸の場合、一文字目が「風」、四文字目が「裏」六文字目が「来」のなんとか三字くらいが読み取れるでしょうか?もしこの句が頭の片隅に残って入れてば、「この句は見たことあります」とか「漢字は読めないけど句は歌える」ということがあるかもしれませんね!相当ビックリされるでしょう(笑)
私はこの軸が稽古場に掛かる度にノートをめくり、見たことあるな~と思っていました。すっと読めるようになったのは最近です…。お恥ずかしい…。
先生に、読めなくてもじ~っと眺めてみなさい。と言われていました。慣れもありますが、段々と読める字が増えてきますので、安心してとりあえず鑑賞する気持ちで拝見しましょう。読めない時は「お読み上げをお願い出来ますか?」と言えば良いのですから。もちろん、「力強い字ですね」とか「読めませんがこのお軸は素敵に感じます」など自分の感想を添えると完璧な茶席の会話になります。
話が脱線し続けました。情景は咲き誇る花を通ってきた風が芳しく香っているという感じでしょうか?私はお花畑に清々しいそよ風が吹いている穏やかで温かい春の情景が目に浮かびました。
因みにこれには対句があって、上の句が「水は竹辺より流れ出て冷ややか」に続いています。禅語的解釈は理屈っぽくなる上に私には難解で説明しきれないので省きますが、この軸が現わす世界観みたいなものをそれぞれ持つ感性が大事だと私は思います。お茶では宗教的解釈より文化的感性の方が大事にされていると思います。