無想庵コラムCOLUMN

柳緑花紅 三月の掛け物

柳緑花紅 三月の掛け物

柳緑花紅    

禅の言葉で、「柳緑花紅 真面目(やなぎはみどり はなはくれない  しんめんもく)」です。

意味としては「柳は緑、花は紅、これが本来のありのままの姿である。それが真実だよ」という感じでしょうか?

これは宋代を代表する詩人の蘇東坡(そとうば)という人の詩の一節です(「東坡禅喜集」)。

蘇東坡は詩人ですが、東林常総(とうりんじょうそう)のもとで修行し、悟りを得た禅の人でもあったようです。

 柳が新緑の枝を垂らし、花は紅に咲き誇っている。
 何千年と繰り返されてきた春の景色、たたそれだけある。
ただそれだけなのに、永遠の真理が語られていることに胸を衝かれ、「真面目」(本当のすがた)と感動して謳われたのだと思います。

 柳は柳、花は花、そこには価値の優劣もありません。
ありのままを、ありにままに受け取り、そこに真実を見る。当たり前すぎて、理解するのが難しいですが、もしかするとそれが「禅」の心の一部なのかも知れません。

 私たちも、よけいな価値判断をやめれば、純真な心で物事を見ることができるようになれるかもしれませんね。
人は、うまくいかないことを誰かのせいにし、怒りや悲しみもまわりがそうさせたと嘆いている。
本当は良いことも悪いことも、それを招くのは自分の心の持ちようなのに。

起きた現実をあれこれ分析して、理由や原因をこじつけようとするから、自分でどうにもできないような気になって、腹が立ったり、落ち込んでしまったりする。

でもとらえ方を変えてみよう!現実をそのまま受け入れてみよう。
素直になって、謙虚な心でいよう。
美しいものを美しく感じ、嬉しいことを喜ぶ心を大切にしよう。
こういったことを教えてくれる禅語ではないでしょうか?

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