無想庵コラムCOLUMN

名利共休 四月の掛け物

名利共休 四月の掛け物

名利共休(みょうり ともにきゅうす)

『名利』とは読んで字のごとく、名誉とか利益のことです。それを『共に休す』なので、名誉や利益を追求する生き方をやめること、という意味になります。

現実には利益追求の資本主義社会ですので、どうしてもお金のある方が良いおもいをします。誰だってお金が沢山欲しいですよね。(基準は色々でしょうけど…。)

しかも人間は誰しも他人と自分を比較してしまうものですから、よく思われたいですし、名誉が欲しい。これらは人間の性というか、本能みたいなものです。

悟りを開くというまでもなく、もう少し達観することが出来て名利共休すの近づけたら、無駄な力が抜けて、良い意味で楽に生きられると思います。私も年を重ねるごとに物欲がちょっとずつ薄れて来て、あれも欲しいこれも欲しいというのは随分無くなって来ましたが、もちろんまだまだエゴもあれば欲も有ります。(実際、無想庵の茶室が欲しい!車より何十倍も高いけど…(笑))

因みに千利休の「利休」という号は、禅の師匠である古渓宗陳(こけいそうちん)和尚から頂いた号で、この『名利共休』っから由来していると言われています。侘び寂びの境地はまさに この『名利共休』 ですよね。天下人の秀吉に対しても媚びへつらうこともなく、敢然と対して接していたと思いますし、切腹の命令にも詫びれば済むところをそうしなかった所が、名誉や利益よりも茶の精神を大事に想った末の結末だったと思います。

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