山茶花 十一月の茶花
山茶花(さざんか)
11月から3月の冬の間に花を咲かせる植物は、椿以外は少ないので有難い花です。確かに特に珍しい花ではないので、使いたがらない茶人さんもいらっしゃいますが、禁花ではないし、常緑の葉の上に、赤やピンクや白の花を多数つけるので見栄えも良く、目立つし、綺麗な花なので 、私は荘らして頂いてます。
サザンカはツバキ科ツバキ属の一種で、日本の固有種です。基本的な性質はツバキに似てますが、ツバキは花弁が付け根で合着しており、花が散るとき、全部の花びらが一緒にポロリと落ちるのに対し、サザンカでは花びら一枚一枚がばらばらに散ります。 ですから、地面に落ちている様子を見れば、サザンカかツバキかが分かります。 花びらが1枚1枚落ちていればサザンカ、花が丸ごと落ちていればツバキです。
四国、九州の南部から、西南諸島、台湾、そして東南アジアに分布する植物で、日本は生育地の北限にあたります。 意外にも暖かい地域の花なんですね!私は昭和の人間なので大川栄作の「さざんかの宿」のイメージが強すぎて、どうも雪国の中で咲く花と思ってました。栽培品が売られているので気づきませんでしたが、野生のものは大阪では見かけられないという事ですね。植え替えや剪定の手間は他の花と同じようにかかりますから、育てるのが難しい部類の花ではないです。(もちろん手間暇をかける前提の話ですが)
名前の由来を調べてみると、椿の 中国名である「山茶花」だそうです。それがいつの頃からか 、この花(サザンカ)の名前として (間違って)定着してしまったようです。 読み方は「山茶花(さんさか)」 →「茶山花(ささんか)」 →「さざんか」 というぐあいに変化したらしいのですが、物の名前ってこう言う誤用はよく見かけるます。
11月の炉開きの季節、茶席では椿が床を荘ることが多いのですが、サザンカも使われています。茶花だけでなく、茶席で出される主菓子にもサザンカを模した生菓子が出されます。