無想庵コラムCOLUMN

朝顔 八月の茶花

朝顔 八月の茶花

お茶の世界では、朝顔には大変有名な逸話がありますが、皆さんはご存知でしょうか?『アサガオの茶会』の話です。利休の家に見事なアサガオが沢山咲いている聞いた豊臣秀吉が、利休にアサガオの茶会を所望しました。秀吉が訪れると庭のは一輪のアサガオもありません。がっかりしご機嫌斜めの秀吉が茶室に入るとそこには一輪だけ見事なアサガオが生けてあり、大変感心したという話です。利休は庭のアサガオを全部抜き去り、花のはかない一瞬の美とも言えるたった一輪のアサガオに侘び寂の風情を込めた利休しか出来ないことだったと思います。戦国時代ですから、時の絶対権力者である秀吉を怒らせるかもしれなが挙とも言えますが、権力者にも媚へつらない態度が利休らしい逸話だと思います。こんな重たい逸話付の花ですから、安易に茶席には用いることは出来ません。一説には禁花(きんか)になったとも言われています。私自身も茶会では見たことがありませんが、自分で開く茶会に関しては、もし庭にアサガオが咲いていれば床に荘るかもしれません。小学生が夏休みに課題で育てるくらいですから、割と丈夫で育てやすい花でしょう。

さて、アサガオは日本ではメジャーなので、見たことない人はいないと思いますが、調べているうちに全然知らないことも出てきたので、ご紹介させていただきます。基本のおさらいからします。

まず花は,青紫色,ピンク色,白色,ふちがあるものなどいろいろありますよね。 他にも覆輪部(ふくりんぶ)と花弁の中心に向かって筋状に白い模様が入る「曜白(ようじろ)」と呼ばれる模様などもあります。 花の大きさも巨大輪から小輪まであり、横(よこ)から見ると漏斗のような形をしています。葉は,ふつうは 3 つに分かれて先がとがり,毛があることは育てたことがある人は気付いていることでしょう。茎に対して互い違いにつく互生と言われるものです。蔓みたいに他のものに巻き付いて伸びていくのが最大の特徴だと思いますが、蔓は必ず左巻きだということはご存じだったでしょうか?(私は今回知りました…)そしてもう一つの大きな特徴が、早朝に花がさいて,数時間でしおれてしまいます。多分これが大寄せの茶会で使われない理由だと思いますが、昼頃に萎んでしまうと午後の席の花が別に用意しないといけませんからね。

アサガオは日本で古くから親しまれている草花ですが、日本原産の植物ではなく、奈良時代に中国から渡来し、薬草として用いられたのが始まりだそうです。 ヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物で日本で最も発達した園芸植物で、江戸時代に流行ったということは古典園芸植物のひとつと言えますね。中国語で「牽牛」と言うそうで、だから七夕の時期に咲くのでしょうか?想像ですが…。

観賞用として楽しまれるようになったのは江戸時代で、大きな花の「大輪アサガオ」や、葉や花がユニークに変化した「変化咲きアサガオ」が大流行したそうです。(オランダのチューリップといい、昔は花が経済を動かす力を持っていたんですね~)
つる性の一年草ですから、あんどん仕立てにしたり、つるを長く伸ばしてカーテンのように仕立てる方法が代表的です。子供時代は鉢植えに棒を立ててそこに巻き付いて育てていましたね。因みにアサガオなのにつるが伸びない矮性の品種もあるそうです。

色々知らなかったことが多いアサガオでしたが、最もびっくりしたのが、次のお話です。「団十郎」は 最も名の知れたアサガオの品種です。という話です。 希少な茶花の人気品種。その名は市川團十郎が歌舞伎十八番でまとう素襖(すおう)の色にちなみます。

団十郎」の発祥は、幕末から明治に活躍した入谷(現・台東区)の植木屋(棒手振〈ぼてふ〉りというらしい)の成田屋留次郎が大きく関与したと考えられていて、歌舞伎の市川團十郎のファンだった山崎留次郎は、自分の店の屋号を團十郎と同じ屋号の成田屋に変え、柿渋色(団十郎茶)の丸咲きアサガオを「団十郎」と名づけ、人気を得ました。

現代の専門家の間では、団十郎というアサガオの定義を細かく定義しているようで、「黄蝉葉 栗皮茶 丸咲 大輪(きせみば くりかわちゃ まるざき たいりん)」が団十郎の正確な特徴表記のようです。黒みがかった褐色の大輪咲きで、葉は蝉葉(大輪咲きの、セミが翅を広げたような葉の形)で、葉色は黄色とのことです。他の特徴として、雄しべの奇形で花粉が少なく、素股(すまた/葉のつけ根に葉芽や花芽がつかない)が生じやすいことから、花やタネがつきにくいらしいです。要するに増やすのが簡単ではないということですね。私は上のような色のアサガオを見たことがありません。自宅に咲いているという方はぜひ写真送ってください。

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