無想庵コラムCOLUMN

瀧 直下三千丈  八月の掛け物

瀧 直下三千丈  八月の掛け物

瀧 直下三千丈(たき ちょっかさんぜんじょう)

瀧を題材にして、涼しさを茶室に取り入れたいという想いから、暑い盛りの七月、八月によく見かけるお軸です。 典拠は、唐の詩人李白の詩「 望廬山瀑布 (廬山の瀑布を望む)」の一節です。原文をご紹介すると

日照香炉生紫煙 (日は香炉を照らし紫煙を生ず… 日は香炉峰を照らし、あたりが白く感じられるほどのもやが立ち込めている)

遥看瀑布挂前川 (遥かにみる瀑布の前川にかくるを… 遥か遠くに滝が前にある川に流れ落ちているのを見る )

飛流直下三千尺 (飛流 直ちに下る三千尺 …滝の流れは飛ぶように真下へと3千尺(とんでもなく高いたとえ)を落ちていく )

疑是銀河落九天 (疑うらくは是れ銀河の九天より落つるかと… これは銀河が天を覆う空の最も高い場所から落ちてきたのではないかと疑うほどだ )

巨大な瀧が勢いよく直下に流れる距離は、三千丈もあるという意味です。 解説文がありましたので転載します。
~水は自ら形無くともどのような形にも順応し、低きについて先を争わず、時にはすべての生き物のすさまじい力となりて、岩石も砕くエネルギーとなる。~

ということですが、ただ禅語では無いようです。 先に書いたように漢詩です。

右の写真の様に、瀧という字を大きく描いてまるで画賛(がさん※ことばの説明で解説)のようですね!

古来、滝壺には瀧の神、もしくは水神の住処と考えられてきました。そのため、神聖視されて来ており、しばしば不動明王や弁才天が祭られてきました。また滝に打たれると霊力が身につくとされ、修行僧が滝に打たれて修行する姿をテレビや写真で見かけると思います。瀧にはこういう神秘性が備わっているのですね。

那智の滝とか避暑を兼ねて訪れたくなりました。去年大型バイクを売ってしまいツーリングに行けないのが残念!!

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