無想庵の由来
今日は私たち『無想庵』の名前の由来を書かせていただきたいと思います。
無想と聞いて、多くの方が無念無想という言葉を思い浮かべたのではないでしょうか?
無念無想とは何か?
無念無想というのは、仏教語です。一切の邪念から離れて、無我の境地に到達した状態とされ、何も考えてない状態も指すことがあるということです。無想は心の働きがないことを意味します。
では心の働きとは何かというと、起きたことへの私たちの反応や感情を言うのだと思います。他にも、自分の望み通りにしたいというエゴ、叶わないときの怒りや悲しみ。逆にいい調子のときは傲慢で奢り高ぶってくる自我。
禅ではこういった心の働きや邪念を捨て去り、無の存在になるまで厳しい修行を続けて行くのでしょう。茶道では座禅を組んで悟りを開くようなことはしません。茶席という場で作法に則り、主客共に他をおもいやる心でいることによってエゴを捨て去り、無我の状態に近づいていこうとしているのではないでしょうか?
少なくとも私は茶道が単なる教養だとか趣味などではないと思っています。茶道をより深く理解し、茶の心を実践していくことが人間修行だと思うからこそ、茶道をこれからも一生続けていく覚悟ができたのだと思います。無想庵を設立した理由も趣味の粋を越え、一大事業として多くの人に広まっていくために自分の人生を使おうと決心したからです。