茶筌作り体験に行きました。
お茶を点てるのに絶対必要なものは何か、あなたはいくつ挙げることができるでしょう?
茶碗と抹茶とお湯ですね?いえいえ茶筅を忘れてはいけません!
茶筌とは竹で職人さんが作った『お茶とお湯を混ぜ合わせ、泡立てる(裏千家の薄茶では)』竹製の茶道具のことです。
茶筌の解説は、初心者マニュアルの方をお読みくださるとして、今日はその製作体験に行ってきましたのでレポートしたいと思います。
茶筌の最高級品と言えば、なんといっても高山茶筌でしょう。
高山といっても岐阜県の飛騨高山ではなくて、奈良県の生駒市の北部にある高山町のことで、四條畷市や交野市と隣接しています。四條畷駅近くにある無想庵からも車で15分のところにあります。
わずか33歳で伝統工芸士に認定された茶筌師 久保健裕さんとそのご家族が講師&実演として来られ、2時間にわたり色々教えていただきました。
茶筅はもちろん天然の竹から作られるのですが、切り出された後2年は乾燥させるため保管されるそうです。この2年の乾燥させている間に節で割れてしまったり、ひびが入るものも多いようです。ある意味、茶筅を作る前に割れてしまった方が、完成後割れてしますリスクが減らせるので理にかなっているともいえますが。
ではここからは工程順に説明していきましょう。今回は穂の数が標準のもので、上がり穂60本、下がり穂60本の計120本立てといわれる茶筅を作ります。
1.丸鋸で竹を12センチ(三寸七分)くらいの長さに切ります。
2.皮むき…茶筅の穂(先)になる方を小刀で表面だけ薄く削ります。 湯の吸収を早くすることで穂先が折れくくする効果があります。
3.大割…包丁と呼ばれる小刀で竹を16等分(32本)に切込みを割り入れます。
4.こじあげ…上の32本を外側に曲げて広げます。 その後、竹の肉をむしり取り、皮の部分だけを残す。(1ミリくらい)
5.頭入れ…穂先に使う表皮の部分と竹の肉部分を剥がし、肉を取り除くために表皮と肉の間に小刀で切込みを入れる。上の写真の中央下の8本ほどある白木が取り除かれた竹の肉部分です。
6.小割… 八十本立なら16等分したのをさらにそれぞれを5等分し、さらに太い・細いと交互に2つに割っていく。 太い方が上がり穂と呼ばれる外側の穂。細い方は下がり穂という内側の穂になります。
7.味削り… 湯に浸して柔らかくしてから、穂の内側をこするように小刀で削いで薄くしていきます。
8.しごき…味削りで細くなった穂先を小刀の背でしごく。こうすることで穂先が丸く内側に向いてきます。
9.面取り… 外穂の面取りをする。点てるときに抹茶が付着しないようにする効果があります。
10.下編み…写真のように糸を左右に広げ、上がり穂にだけS字カーブの要領で交互に糸を穂の根元に巻きつけて1周していく。コツは常にハの字に糸を広げたら左手に持っている糸だけを1回巻きつけ、また左手側にきたものを上がり穂にS字に巻きつけていく。この作業の繰り返しです。
11.腰並べ…下編みが終わったら一度穂を整える為、へらで穂の間隔をそろえる
12.上編み…上がり穂を固定するために、下編みと同じ要領で3周穂先に3周撒きつける。 体験はこの部分だけをやらせてもらえましたが、初めてなので1周するのに1時間近くかかりました。しかも1本飛んで撒きつけている箇所がいくつも出来てしまいました。
13. 芯よせ…下がり穂を内側にもっと寄せるために下がり穂を中央に寄せる。
14. 腰並べ…へらを使って形を整えて完成です。
茶筅の字はもともと鍋などの焦げ付きを落とす道具、筅(ささら)から由来しているそうですが、高山(奈良県生駒市高山町)産の茶筅では「筌」の字を使うことが通例だそうです。(パソコンによってはこの字が出ません。 )
最後に自分で作った茶筅で、抹茶を点て一服いただきました。