無想庵コラムCOLUMN

茶道において重要な本

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茶経(ちゃきょう)

最古の茶書と言われています。書かれたのは中国唐の時代(8世紀ころ)で陸羽という人が書きました。3巻にわたる書物で、茶の基本的な諸要素を総合的にまとめています。

喫茶養生記(きっさようじょうき)

鎌倉時代に書かれた日本初の茶書だそう。栄西禅師が茶の効用を説いて源頼朝に献上したそうです。

松屋会記(まつやかいき)

奈良の塗師松屋の親子三代で書き継がれた茶会の記録。1533年から始まり、120年も続いているそうです。

山上宗二記(やまのうえそうじき)

利休の愛弟子の山上宗二が、 天正16年(1588年)に記した とされる 茶道具の秘伝書。 利休から聞いた話として書き留めた伝書でもある。

内容の大部分が名物記であるため『南方録』のように茶道界に大きな影響を与えることはなかったが、20世紀以降、『南方録』の偽書説が認知されるに従い、天正年間の確実な資料として研究者の間で重要視されるようになったそうです。

南方録(なんぽうろく)

千利休に近侍した禅僧の南坊宗啓(なんぼうそうけい)が、利休居士からの聞き書きをまとめたものとされています。その後、江戸時代に 経済の発展とともに茶道が広がりを見せた元禄期、筑前福岡藩黒田家の家老、立花実山(たちばなじつざん)に見出され 実山の自筆本(全七巻)が伝世する。 その巻一は「覚書」で、先の南坊宗啓が書いたもので利休の茶法の根本を述べている。茶書で最も有名でありながら、史実性に問題がありとされ、偽書説が研究者の間では定説になってきています。筆者も南坊宗啓なのか、立花実山なのか?

江岑夏書(こうしんげがき)

表千家四代目江岑宗左が聞き書きされたもの。父親である千宗旦が利休に関して語ったことを書き留めました。

古今名物類聚(ここん めいぶつるいじゅ)

松平不昧(まつだいらふまい)が刊行した千点にも及ぶ名物道具をランク付けして刊行した全18巻にも及ぶもの。松平不昧は出雲松江藩のの藩主。

茶の湯一会集(ちゃのゆいちえしゅう)

幕末の大老、桜田門外の変で暗殺された大老井伊直弼が書いた茶書。現代の茶の湯観はほぼこの本ではなかと思うほど、ここに書かれていることは現代でも生きている。「一期一会」や「独座観念」という観念も生み出している。

茶の本(Book of Tea)

岡倉天心(おかくらてんしん、本名は 覚三 かくぞう) がアメリカに渡ってから、英語で著した茶道の歴史や理念を描いた本です。茶道には日本の美意識が凝縮されていること、そしてそれは日常の俗事の中にある美を見出し、「不完全なもの」を崇拝する一種の儀式であること。そこから純粋と調和、互いに愛し合うことの神聖さ、社会秩序の賛美を学びとることができる。ということが主張されている本です。

日本人の住居や習慣、衣食、陶漆器、絵画、そして文学に至るまで、みな茶道の影響を受けていて、日本の文化を研究しようとするものは、茶道の影響を無視するわけにはいかない。という認識を西洋人に示しました。

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