無想庵コラムCOLUMN

落雁 十月のお菓子

落雁 十月のお菓子

落雁(らくがん)

落雁とは、読んで字の通り空から落ちてくる雁のことです。和菓子の落雁の由来はその形状が似ていて、近江八景の一つ「堅田落雁」になぞらえたものと言われています。ただご多分に漏れず、名前の由来には諸説あって、明の時代の軟落甘(なんらくかん)というお菓子が室町時代に日本に伝わったというのが一般的です。

落雁はどちらかというと食べるより、お供え物としての印象が強いですよね? 日本に伝わったころは主に貴族などがたしなむ茶の湯に添えるお菓子として使われていました。それが次第に庶民にも浸透していきました。落雁がお供え物に使われるようになったのは、当時は高級品だった白砂糖を使ったお菓子が白装束をイメージさせたのが始まりだとされています。 見たことはあるけれど、その味や特徴は知らないという方も多いと思いますが、(私もお茶を始めるまでは食べた記憶が無いです)和菓子の中でそれ程、目立つ存在ではない落雁ですが、実は日本三大銘菓はすべて落雁なんですよね?調べてびっくりしました!

落雁とは、米や麦、豆などの穀類を蒸してから作った粉に砂糖や水あめなどの甘味を加えて着色し、さまざまな形の型に押し固めて乾燥させた干菓子です。それぞれの素材となる粉に甘味を加えただけのシンプルな味わいが特徴のお菓子ですが、乾燥させて作る干菓子ゆえ、口に入れた瞬間はかたさを感じます。そのあとホロホロと崩れるように溶けてゆく繊細さを持ち合わせています。現代では、仏事のお供え物に用いられることが多いですが、茶道が広まってからはお茶菓子としても親しまれるようになったようです。

日本を代表する銘菓として三大銘菓という話をしましたが、今までも度々登場してきた三大銘菓。

1つ目は、新潟県長岡市にある大和屋の「越乃雪」。2つ目は、石川県金沢市にある森八の「長生殿」(2021年1月に取り上げました)。3つ目は、島根県松江市にある風流堂の「山川」です。これら3つの銘菓は合わせて「日本三大銘菓」と呼ばれています。

日本三大銘菓すべてに共通するのは、どれも「落雁」であるということです。製造過程で「蒸し」の加熱処理を加えるタイミングによって、落雁ではなく白雪こうと呼ぶこともありますが、どちらも使用する材料は「米やもち米などの粉」と「砂糖」という点では同じであり、このようなシンプルな干菓子が日本では古くから愛されてきたことが三大銘菓を通して伝わってきますね。

落雁がお供え物とされるようになったきっかけは、お釈迦様の弟子であった「目連」という僧侶の行いにあったと言われています。母を救うため、お釈迦様の教えを請うた目連僧侶は、『多くの僧侶にたくさんの食べ物を振る舞い供養しなさい』というお釈迦様の教えに従い、おいしいご馳走などを振る舞いました。このおいしいご馳走には、特に甘いものが好まれたそうで、甘いものが高級品であった時代に、落雁のような砂糖菓子が故人のためにお供えするものとしてふさわしいと考えられたこともあり、落雁がお供え物として使われるようになったのだそうです。

こうした目連僧侶の行いは「百味飮食(ひゃくみおんじき・ひゃくみのおんじき)」と呼ばれ、現在のお盆にも引き継がれています。お盆にたくさんの果物や野菜などをお供えするのは、この百味飲物に由来していると言われています。また砂糖の白色は白装束の色でもあり「純粋なままの魂で旅立つ」という意味を持つため、砂糖を原料とした落雁をお供えして仏様を祀るようになったとも言われています。

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