無想庵コラムCOLUMN

青天白日怒雷走  八月の掛け物

青天白日怒雷走  八月の掛け物

青天白日怒雷走(せいてんはくじつ どらいはしる)

出典は『江湖風月集』です。 これは中国、元の時代の僧、松坡宗憩(ずんばそうけい)が撰したとされいます。有名な禅僧の偈頌集のひとつで,日本でも刊行され、五山文学僧の範とされているものです。 お茶の世界では、茶掛けにされる禅語は『碧巌録(へきがんろく)』とか『臨済録(りんざいろく)』などが多く、個人的には今回初めて『江湖風月集』なるものを知りました。

さて、青天白日とは雲一つない晴れ渡った空のことです。そこに雷鳴が響き渡り、稲妻が走るという情景を詠んでいます。自然界ではそんなことは起こらないので、これは心の在り様を言っているのですが、心が青天白日という事は、心理状態として完璧な状態ですね。雲一つない、迷い一つないなんて本当に素晴らしいですが、そこに安住しているといつも間にか傲慢な心に変わっていってしまうのが人間というものです。

私たちの内には、宇宙全体とつながる霊性というものが眠っているのだそうですが、一喝されてハッとしてその霊性を呼び覚ます、もしくは自分自身に気付くという自省を折に触れしていくことが、人間として成長していく上で欠かせない行為だと思います。

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