無想庵コラムCOLUMN

高砂饅頭 十一月のお菓子

高砂饅頭 十一月のお菓子

高砂饅頭(たかさごまんじゅう)

麹甘酒の発酵を生かした饅頭で、 本家玉壽軒(たまじゅけん)の冬の名物菓子です。創業当初から作られているそうで、自家製の甘酒を用いた生地をお使いとのこと。甘酒の香りと甘みを感じられるふかふかの皮に、中はこし餡、注文を受けてから蒸してくれます。茶席に出すころには冷めてしまうので、ふかふか感は随分無くなりますが、 蒸しなおすと柔らかくなりますので十二分に美味しくいただけます。冷めると固くなってしまうのは、 生地に砂糖を加えていないからだそうです。

もともと本家玉壽軒(たまじゅけん)さんは、京都の大寺院へのお出入りが多い菓子屋さんで、紫野にある大徳寺の開山忌でも、高砂饅頭がずっと使われてきたそうです。

ご存じの方も多いと思いますが、大徳寺は、茶道には大変ゆかりの深い禅寺です。開山以来、紆余曲折はあったものの、貴族・大名・商人・文化人など幅広い層の保護や支持を受けて栄えてきました。室町時代以降は一休宗純(一休さん)をはじめとする名僧を輩出した由緒ある禅寺です。侘び茶を創始した村田珠光などの東山文化を担う者たちが一休に参禅して以来、大徳寺は茶の湯の世界とも縁が深くなり、武野紹鴎・千利休・小堀遠州をはじめ多くの茶人が大徳寺と関係を持っています。また国宝の塔頭龍光院密庵(みったん)など文化財に指定された茶室も多く残っています。本能寺の変で織田信長が自害した後、羽柴秀吉によって信長の葬儀が大徳寺で盛大に執り行われています。翌年には秀吉によって信長の菩提寺として塔頭・総見院が創建されました。これ以後も秀吉や諸大名から篤い帰依を受け、1589年には千利休によって山門・金毛閣が完成している。 例の秀吉を怒らせたという山門ですね。

随分話が逸れましたが、暖かい酒饅頭は茶席のお菓子は、生菓子も干菓子も暖かいものは無いので珍しい存在ですが、冷めて固くなっても十分美味しいですし、レンジがあればなお良いですね。因みに 本家玉壽軒(たまじゅけん)さんの高砂饅頭を買うなら、注文の都度、蒸しますので10分は待たないといけないです。11月下旬からの発売だそうですが、天候により仕込みの時期が遅いときもあるので暖かい年は確認してから買いに行った方が良いかもです。

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