無想庵コラムCOLUMN

水羊羹 八月のお菓子

水羊羹 八月のお菓子

水羊羹(みずようかん)

暑い季節になると、茶席の主菓子として登場するのが、葛や水羊羹です。今回は水羊羹をご紹介したいと思います。辞書によると水羊羹とは、 水分の多い夏向きのようかんとあります。 寒天を煮て溶かし、小豆あんと砂糖を加えて混ぜ合わせ、それを容器に流し込んで冷やし固めて作ります。 写真では、羊羹も水羊羹もあまり変わりないように見えますが、食べた食感は水羊羹の方がプルプルで、のど越し柔らかです。

羊羹には三種類があって、寒天と砂糖、小豆餡を煮込んで作るのが「練り羊羹」で、練り羊羹の寒天量を減らし、水分量を増やしたのが「水羊羹」です。 また、小麦粉とくず粉、水、小豆餡を混ぜて蒸したものが「蒸し羊羹」です。他にも形が同じで紛らわしいのが、 「ういろう」です。これは小麦粉ではなく米粉と砂糖、水を混ぜて蒸したもの竿状のお菓子です。羊羹も外郎も形が竿状(棒)で、切り分けて頂くので、形だけではどれがどれとは分かりにくいかも知れません。

また羊羹には製法の違いによる三種類のほかに、原料も変えて作られています。通常は小豆を原料としますが、それ以外に栗羊羹芋羊羹など様々な種類が存在しています。

羊羹て、羊の羹(あつもの)と書きますが、肉は全く使ってないのになぜこの感じなのか想像付きますか?懐石料理にも出てくる「羹(あつもの)」とは、中国語の本来の意味ではスープ類を指す言葉でした。それがなぜお菓子の名前に使われるようになったのか不明ですが、一説には日本人は肉を食べる習慣がなかったからだと言われています。江戸時代に入り、砂糖が国内で生産されるようになると、現在の羊羹の様に砂糖と寒天で作られるようになったということです。

水羊羹は一般的には夏限定のお菓子というイメージですが、京都や北陸地方、山形などでは冬の定番和菓子として食べられているそうです。例えば福井では 「雪が降り、寒くなったら、暖かいこたつに入りながら冷たい水ようかんを食べる」ことが冬の楽しみなのだそうです。家族みんなで一枚流しの水ようかんを切れ目に沿って、付属のヘラですくってそのまま食べるのだそう。

水羊羹は流し込んで固めて作るので、いろんな容器に入れてすくって食べるという楽しみがありますよね~。菓子作りが趣味の人はやってみたら楽しいかも?

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