無想庵コラムCOLUMN

苔清水 七月のお菓子

苔清水 七月のお菓子

苔清水(こけしみず)

夏の茶席では、菓銘によく使われる言葉です。語感から綺麗な清流をイメージ出来、如何にも涼しげですよね。夏になり暑い日が続く七月、八月は材料も葛菓子や寒天で固めた錦玉羹(きんぎょくかん)が中心です。写真は 錦玉(羹)製の「苔清水」という銘のお菓子です。(宇都宮の和菓子店「とらや弥生」さんの写真です。)近所の和菓子屋さんでもこんな感じで作って頂いてます。竿ものと言って出来上がりは羊羹のように棒状でそれを切って菓子鉢に盛ってお出しします。

錦玉羹(きんぎょくかん) とは流し菓子の一種で、寒天を煮溶かして砂糖や水飴などを加え、型に入れて固めたもののことです。 錦玉の透明度が 涼感を演出してくれ、 夏の水の冷たさや清涼感を表すのにぴったりな製法です。 また 寒天はゼラチンと違い、夏の暑さで溶けてしまうことがないので、そういう意味でも錦玉製の御菓子は夏の茶席で重宝されています。

寒天は、海草のテングサ等を煮溶かし乾燥させたもので、食物繊維が豊富な素材です。江戸時代後期、戸外に捨て置いたトコロテンが凍結し日中融けたあと、後日乾物状態になったものを試食したのが始まりだそうです。売っている状態ではあんまり美味しそうではないですが、溶かしてお菓子に使うと全然別物になりますね。

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