無想庵コラムCOLUMN

蓬莱 一月の銘

蓬莱 一月の銘

蓬莱(ほうらい)

関西では蓬莱と言うと、まず最初に『551の蓬莱』を思い浮かべてしまいます。肉まんのことを関西では豚まんとも言いますが、人気は恐らくナンバー1でしょう。百貨店の地下食料品街ではどこでも出店してますし、新幹線の駅でも売っているので、案外全国区かも知れません。1945年に蓬莱食堂としてスタートした会社です。その店名にもなっている『蓬莱』ですが、 元は中国伝説の不老長寿の薬を持つ仙人が住むという山の名前です。

日本では、お正月に左の写真の様に三方に白米を盛り、上に熨斗鮑(のしあわび)・伊勢海老・勝栗・昆布・野老・串柿・譲葉・橙などを飾ったものを蓬莱飾りと言って床に飾ります。最近では全く見かけなくなりましたがお茶の世界では新年に飾ってくださる先生もいらっしゃいます。私はホームセンターでセットで売っている組み立てセットのものしか知らなかったので、初めて見たときは感動したもので す。考えてみたら食べ物を神に捧げ五穀豊穣を願うわけですから、食べられる本物でないと意味ないですよね。

表紙の写真は北海道の新ひだか市にある蓬莱山公園にある蓬莱山です。数々の伝説があるらしいのですが、詳細は判らずとも、しめ縄を見るだけでその地域の人から大事にされており、信仰の対象になっているのが分かりますね。また有名な名古屋の熱田神宮は『蓬莱宮』とも呼ばれているそうです。このように『蓬莱』とはお目出度い言葉の代名詞みたいなもので、新年を迎えるに当たり良く使われる言葉です。

お茶の世界でも、道具や主菓子の銘としてよく使われる言葉です。 右は大徳寺の立花大亀(たちばな だいき) 老師が書付をなさった茶杓です。

『蓬莱』はお目出度い言葉ですので、お正月に限らず、お祝いの茶席とか色々な趣旨に使えるので、道具の銘としては重宝しますね。

コメントを残す

記事に関するご質問やご意見などありましたら下記のフォームよりお気軽に投稿ください。