無想庵コラムCOLUMN

千家十職とは② 楽家編

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先日取り上げた千家十職の続きです。まずは復習ですが、 三千家と密に連携し、試行錯誤を重ねて千家の好み道具を制作する職人方の家を千家十職と呼んでいます。 下記の十家がそうです。

奥村吉兵衛(表具師)、②黒田正玄(竹細工・柄杓師)、③土田友湖(袋師)、④永樂善五郎(土風炉・焼物師)、⑤樂吉左衞門(茶碗師)、⑥大西清右衛門(釜師)、⑦飛来一閑(一閑張細工師)、⑧中村宗哲(塗師)、⑨中川淨益(金もの師)、⑩駒澤利斎(指物師)

今回は、世界的有名人である⑤樂吉左衞門(茶碗師)を取り上げます。外国人(少なくとも日本に興味がある人)から見て、日本人で楽茶碗もしくは楽家を知らないのは相当教養がない人に見られてしまいます。

樂吉左衞門(茶碗師)

利休に見出されて、楽茶碗を作り始めたのが初代の長次郎です。楽茶碗の大きな特徴は熱が伝わりにくく冷め難いということですが、つまり熱伝導が通常の茶碗に比べて悪いということですが、これがお茶には適していました。抹茶を頂くのは両手で茶碗を持つので、湯の熱さが伝わってくるとお客さまも大変ですよね。逆に冷め難いということは数人で回し飲みするときに最後の人まで冷めずに濃茶を頂けます。コロナ時代の今ではもうしていませんが、以前は濃茶というものは数人のお客さんで順に三口ずつ回し飲みする作法だったのです。この画期的な製作法はろくろを使わず手ごね(手づくねといいます)して成形するため、空気の細かい粒が土の内部に残りそれが熱伝導を抑えているわけです。また、他の茶碗と異なり、小さい窯で一碗ずつ焼成しているのも大きな特徴です。楽茶碗は黒と赤、飴色が基本です。

長次郎作 銘『千声』 五島美術館蔵

戦国時代から代々続き、千家十職の中でも最古参です。現在は十五代吉左エ門さんで、代々家業とともに名前も引き継がれていきます。戸籍まで変えているのですよ。すごいですね~!お家元と同じくお亡くなりになると「道入」とか「了入」など号に変わります。

お道具の拝見、問答でも本物の楽茶碗ともなれば皆さん興味津々です。所有者なら何代目のどんな銘か当然分かっているわけですが、長次郎や三代目、通称ノンコウの物ともなれば国宝級ですので博物館でしか拝見は出来ないでしょう。楽美術館に行けば代々の作品が拝見できますので、一度は行くと良いと思います。

https://www.raku-yaki.or.jp/museum/

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