無想庵コラムCOLUMN

主菓子、干菓子

主菓子、干菓子

濃茶席の前には主菓子(おもがし)と呼ばれる生菓子が、薄茶席には干菓子(ひがし)が出されます。それぞれお茶の味を引き出すのがためのものですから、柔らかな甘さのものが多いようです。香気が少なく、口の中で早く溶ける材料が使われているのも特徴でしょうか。

主菓子と干菓子の2種類があるのはなぜでしょうか?

濃茶と薄茶では味わいが全然違いますね。濃茶はねっとり?と濃いお茶なのでそれに合うようなきんとんなどの餡が主体となった生菓子が調和しそうですね。ただ、お茶を飲む前に甘い物を口に入れておいて、濃くて苦いお茶を中和すると考えるのは正しいとは言えません。(私も長いことそのように信じていましたが…)

確かに大寄せのお茶会や街の抹茶を出すお店ではお茶を飲む直前に運ばれてきますが、本当のお茶会では懐石料理をいただいてすぐに主菓子が出されます。その後一旦お客は外に出て再び亭主に呼ばれるまで露地の待合で待っているので、主菓子を食べてから再び茶席に入って濃茶を飲むまで、30分くらいは経っているわけです。もう口の中には甘さは残っていないでしょう。

またお茶会のメインは濃茶なわけですから、濃茶の味をわからなくするようなものは口の中に入れておくのも変ですよね。たまに書物でも主菓子のことを食後のデザートという表現をしているのを見かけますが、正確には懐石についている(食べ)ものという捕らえ方が良いと思います。(デザートという捕らえ方だと微妙に勘違いしてしまう恐れがあります)

それに対して、干菓子は濃茶を頂いた後、薄茶の直前に出されます。こちらもお茶が点て終わる前に食べて終わるのが、決まりのようなものですが、お茶請けの菓子みたいな感じです。喫茶の菓子と言う意味では干菓子の方が正当なのかも知れません。

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