佐保姫 三月の銘
佐保姫(さおひめ)とは春をつかさどる女神のことです。。元は佐保山の神霊で、佐保山は平城京の東に位置し、その方角を四季に配すれば東は春に当るので、春=佐保でそのように呼ばれるようになりました。
あまり知られていませんが、日本には四季それぞれを司る女神様がいます。 春の『佐保姫』、夏の『筒姫』、秋の『竜田姫』、冬の『宇津田姫』。 右写真は日本画家の松岡映丘氏が描いた「佐保姫」
また、佐保山は古くから桜の名所として知られ、その佐保山には春を司る神霊が宿っていると考えられ、そのことからも「佐保姫」が信仰されるようになります。
佐保姫は白く柔らかな春霞の衣をまとう美しい女性と考えられていますが、画家によってイメージが変わるのでしょうね?
そのことも由来して、「佐保姫」の名は春の季語となり、現代でも和菓子の「春」をイメージする銘柄としても用いられています。
佐保姫は、竜田山の神霊で風神であった秋の女神龍田姫と対を成すと考えられます。 龍田姫についてはまた別の項で説明させて頂きます。
兵庫県猪名川町の万善地区には「佐保姫」という珍しい地名があるのですが、そこには佐保姫伝説が伝わっています。
戦国時代、明智光秀の娘佐保姫と、篠山の八上城城主の息子貞行は愛し合いますが、 光秀の主君、織田信長は光秀に八上城を攻めるように命じ、城を落城させます。貞行は難を逃れましたが、姫とは離れ二度と会うことはできなくなります。 姫の住む城も落城し、姫は猪名川に身を投じるという悲しい伝説です。 以来その地は「佐保姫」、姫が入水した川は「姫ケ渕」と呼ばれるようになったと伝えられています。 (猪名川町のサイトより抜粋)